■16『ザ・データリンク』
米露兵団とべネップ・シャーレ・凛風に挟まれた文と蘭玲。銃弾は二人を狙って放たれ続ける。
射線を切る障害物は無い。
かつて仲間だった3人は防弾盾を持って、機関銃の銃口をコチラに向けている。
「ちょっと待つネ!! 話せば分かル!!」
「そうアル! ワタシの命だけは助けテ!」
「なっ!? お前弟子ダロ!!」
ピョンピョンと右へ左へ斜めへと高速で回避する武術家達。「なんだコイツ等……」と兵士達も困惑しなから攻撃を続ける。
「助けて欲しくば軍人共をなんとかシロ」
「悲しいですよ、まさか文さんとココでお別れなんて……」
「てかどうやって銃弾避けれてるの?」
────アメリカ某所。
そこには重犯罪を犯した囚人達が収容されている。ロシア某所にて米兵達が戦闘を開始した同時刻、米国の刑務所内にいた懲役70年以上の者または死刑囚達の身に、不可解な現象が見られた。
強盗殺人で収容された囚人には体の一部に銃創のような穴が開き、片足が吹き飛び、その激痛から突然叫ぶ。先程まで元気に刑務作業を行っていたはずの強姦犯は眉間から大量出血を起こし、死亡。など様々な案件が刑務所内にて発生。
その原因こそ現在銃撃戦を広げている米兵が一人、その兵士が有する『ザ・データリンク』の力。
契約対象と肉体と生命を接続させ能力者のダメージを身代わりとしてフィードバックさせる。
また、自身の部下や要人などもリンクすることによって非能力者も同様の効果を自動発動させることが可能となる。
「凛風さん! 兵士達が隊列を散らし始めました!」
「距離を詰めるゾ」
バカ二人が
凛風から最も遠い兵との距離、約9m。察した凛風はシャーレとべネップに指示を出しつつ、バカ共を射線誘導し動かすことで隊の動きをコントロールしながらその距離を詰める。
「ヤバい! あの
「師匠、私に名案がアル」
「その心は!?」
蘭玲は文が応じると同時にステロイド系の
「なんとか……なれーーー!!」
「嘘でッ───ファっ!?」
薬物によって強化された膂力によって投げ飛ばされるたのは愛しの師匠。吹き飛ぶ文の肉体の先には民話や伝承の化け物。不滅の吸血鬼軍団、ロシアの能力者兵達は驚愕を隠せず、飛行する物体に意識を向けた。
「なんだ!? 仲間割れか!?」
「空中にいるあの中国人を狙え!!」
「アアアアアアアアアアア!!」
向けられた銃口の向きから弾道を予測、弾丸を回し受けで軌道をズラし、正中線を目掛けて放たれる銃弾を掴んで止める。0コンマに満たない攻撃を反射的に対応する文。
そして文は隊列のど真ん中、敵に囲まれる形でフカフカの雪へとダイブする。
「
着地と同時にバッと態勢を立て直し、立ち上がって構える文。もちろん周囲には殺意満々の敵兵達。
「ヨシ、出来かした蘭玲! 少年、お前の力で移動!!」
「……? あぁ、なるほど」
「えっ!? 何!?」
凛風は点火済みの発煙弾を発現させ文に向って投げ込む。べネップは瞬時に理解し『能力』を発動。
発動とほぼ同時、凛風はべネップとシャーレの腕をガシッと掴み掴まる。
瞬間、文の持つ髪の毛を起点として『戻す』力が働く。
発煙弾の軌道と同じルートを辿りながら三人は放物線を描いて文に向かって吹っ飛ぶ。
回避不能の凶弾が文を囲み360°から放たれる刹那、白い煙と同時に着地する三人。
文に背中を見せる形で立ち上がり、再度発現させた防弾盾を
「みんな! やっと人の心を取り戻したノ!?」
「うるさい」
「うるさいです」
「お前は後で殺ス。まあそれはそれとして──」
不死身の兵、倒すことはほぼ不可能。それならそれでやり方はある。
半径5m……敵は全て、効果範囲内に入った。
「『ザ・シークレットサービス』」
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