第11話 破壊神シックザール
シックザールの復活阻止計画。その計画に生徒会メンバーは全員賛同した。それを見て、
「最大の目標は破壊神の復活を阻止すること。だけど……もしかしたら間に合わないかもしれない。そうなったら……できれば被害が広がる前に倒してしまいたい。だけど……危険だと思ったらすぐに逃げて。自分の安全を最優先で。いいね?」
「じゃあ、早速地下に行ってみよう。実はもう破壊神の復活は秒読みみたいでね。あんまりのんびりしてるヒマはないんだ」
そう言って、生徒会メンバーは立ち上がる。私もついていって暇潰しするか、と思っていると、
「ちょっと待っててね」
それから、
そりゃそうか……私みたいな子猫を破壊神復活の場には連れていけないよな。ちょっと残念だが、檻を破って出るわけにも行くまい。一応、
生徒会メンバーが部屋から出ていく。シックザールの復活を阻止しに行くのだろう。私には関係ないが、なんともご苦労なことである。そんな危険なことは大人がやればいいものを……なぜ学生がそんな危険を冒さなければならないのか。
まぁいい。本当に私には関係のない話だ。
生徒会メンバーがいなくなって、1人……いや、一匹になる。
しばらく時間が経過して、すでにヒマになってきた。夕日も落ちかけていて、校舎から聞こえてくる生徒の声も小さくなってきた。眠ろうにも、今日はたくさん寝たので眠くない。
檻でも破って散歩に行くか? いや……この檻を壊すのも気が引ける。緊急時以外は壊したくない。
そんなこんなであくびをしていると、
「ニャン? (なんだ?)」
突然、強いエネルギーを感じた。校舎の下辺りから、圧倒的な力を持った存在が現れたようだった。
威圧感。圧迫感。そんな負の感情を持った黒いエネルギー。私の生きた時代でも、これほどの力を持った存在は稀だった。
「ニャー……(これが破壊神か?)」
破壊神シックザールの封印が解かれて、復活したのだろうか。生徒会メンバーは間に合わなかったということだろうか。
だとするならば……少しまずいことになる。いくら私でも、防ぎようがないことだってある。
次の瞬間、
「ニャ……! (む……!)」
爆音。何かが爆発したような音が鳴って、校舎に砂が降り掛かった。音に耳をすませる限り、グラウンドの下が爆発したらしい。その衝撃でグラウンドに穴が空き、砂が舞った。
「ニャ。(これは緊急事態だな)」
私は檻を力で曲げて、外に出る。檻の製作者および
檻を出て、窓を開ける。そしてグラウンドを見た。
そいつは浮かんできた。沈みかけている夕日をバックに、浮かび上がっていた。グラウンドには大きな穴が開けられており、その穴から現れたようだった。
異形のバケモノ。明らかに人ではないそれには
これが破壊神か……どうやら世界征服というのは、まんざら夢物語でもないようだ。たしかに目の前のこいつならば可能かもしれない。
そいつ……破壊神シックザールは大きく息を吸い込んで、
「聞け! 人間ども!」鼓膜が破れそうなくらいの大声で、叫んだ。「我が名は破壊神シックザール! この私が蘇ったからには、地上の支配者は愚かな人間ではない!」
ビリビリと大気が揺れる。いつの間にか雲がすべてなくなっている。夕日は完全に沈んでいた。
これは……マズイな。焦る私をよそに、シックザールはさらに言う。
「手始めに! この場所を更地に変えてやろう! さらに次は――」
「ニャー(うるさい)」
鳴いて、私はしっぽを振るう。
一瞬遅れて轟音が鳴って、次の瞬間シックザールの体が真っ二つになった。
こんな奴、直接触れるまでもない。しっぽで巻き起こす風で十分だ。それだけでこいつくらいの体なら真っ二つにできる。
たしかにシックザールは世界征服を成し遂げられる実力者だっただろう。私がいなければ、の話だが。
力なくグラウンドに落下していくシックザールに向けて、言ってやる。
「ニャオ。ニャー(ご主人の補習の邪魔してんじゃねぇよ)」
あんまり大声出して騒ぐと、ご主人が補習に集中できないだろうが。
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