第2話

 圭子は、リビングにスペースを作って、段ボール箱を置いてくれた。

「悪いな……クローゼットの中でもよかったのに。」

「駄目よ。おじいちゃんの遺品でしょう。今日、十七回忌だったのよね。おじいちゃん……」

「おふくろと叔父さんが入院中だから、親父と二人でお寺で拝んでもらった。その後、じいちゃんの部屋の片付けに行ったんだ。まあ、おふくろや圭子の負担を考えたら、去年のばあちゃんの七回忌も、もっと簡素化したらよかったって、親父が言ってた……」

「私はともかく、お義母さんが何かと大変だったものね。」

「俺は有名私立中学に入ったものの、イジメにあって、不登校。高校は通信制で、専門学校卒だから、じいちゃんとばあちゃんはがっかりして、母親の育て方が悪いって、おふくろを責めたからな……」

「その専門学校で私と知り合って、卒業してすぐに結婚だものね。最初のころ、特に、おばあちゃんが怖かったかな。そういえば、おじいちゃんは頭がよくて、広島大学の出身だって……そうそう、おばあちゃん、よく自慢していた……その時は私、私達の学歴が不満で、だから、嫌味を言っているとばかり……」

「親父によると、じいちゃんは、戦争中のことは、ほとんど話さなかったらしいよ。ただ、広島に原爆が落ちた時は、じいちゃんは実家に帰省していたんだけど、かなり早い時期に、広島にもどったらしい。下宿先がどうなったか心配だったらしくて。その話しを聞いて親父はびっくりしたって言ってた。あれ?どうした?」

圭子が、ポロポロと涙をこぼしている。

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