二部 ヒモがあったから引いてみた

第17話 第二部始動! まずはあらすじだ!!

〇タイトルも変わるんだぜ!


『ヒモがあったから引いてみた』


〇あらすじ


「ちょっと調子に乗りすぎてますね」


 女神は下界を見下ろして、ため息をついた。

 その視線の先にはエルミッヒ王がいる。彼は王の職権を乱用して、国中の女に手を出しまくっていたのでした。


「私があのような能力を与えたばかりに……」


 後悔した女神は、これまでのことをなかったことにします。

 時間の巻き戻しです。

 エルミッヒ王が魔王を穴に飲み込んだところまで時間を逆行させるのです。



「少年! あなたはやりすぎました。穴の能力を返していただきます」


 少年は慌てました。


「待ってください! この力を奪われたら生きていけません。……足を舐めます。誠心誠意、足を舐めさせていただきます」

「……そういうことではありません。あなたには反省する機会が必要ですね」


 なんということでしょう。少年は穴の能力を奪われたばかりか、彼自身もその穴に飲み込まれてしまうのです。


「助けてくれ!!!」


 少年は脱出を試みますが、ムダな努力でした。

 穴は容赦なく少年を引きずり込んでいきます。


「チクチョウ、チクチョウ、チクショウ」


 少年は最後に呪いの言葉を発します。


「穴よ。最後に俺に力を貸してくれ。なんでもいい。あの女から能力をひとつ奪ってくれ!!!!」


 少年が目を覚ますと、見知らぬ土地にいました。

 自分が住んでいた世界とは、まったく別のどこか。

 

 少年は穴の力をなくしたことを知ります。

 ですが、その代わりにひとつ、力を得ていたのでした。穴は少年の願いを聞き届けたのです。


 スキル『鼻フック』

 このフックに吊られた者は、行動不能におちいります。

 少年が空から垂れ下がったヒモを引くと、なぜか標的の鼻が吊り上がるのです。


「オメエ、新入りか? 有り金だして俺の股の下をくくりやが――」

「フン!」


 少年がヒモを引くと、チンピラ冒険者が吊り上がりました。


「イガガガ、待って待って!」


 フックの能力からは誰も逃れられません。



「あ! おまえはあの時の!」


 なんということでしょう。少年は穴へと落としたはずの勇者と再び相まみえたのです。


「よくもやりやがったな。もう同じ手は食わねえ。必殺――」

「フン!」


 足元を超気にしていた勇者は、あっさりと鼻フックで吊り上げられます。



「よくきたな人間ども。今度こそお前たちを支配してやる。恐れよ、怯えよ、我が魔王である!」


 少年はこの声に聞き覚えがありました。


「ヌ! きさまはあのときの――」

「フン!」


 やっぱり魔王も吊られました。


 少年の快進撃はとどまることを知らない。

 つぎはいったい誰を吊るのだろうか。

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