第87話 お兄ちゃんのエッチ!!
撮影が終わった僕達は香里奈とともに電車で帰ることにした。アンジェリーナが家まで送ってくれる話になったが、香里奈がムスッとしていたため寄り道して機嫌取りだ。
「ケーキでも買いに行く?」
「……」
香里奈は怒っているのか、話しかけても黙ったままだ。
「お兄ちゃんってああいう女性がタイプなの?」
ああいう女性っていうのは杏奈のことを言っているのだろうか。そもそも杏奈と分かれば女性として見ることもないだろう。
だって彼女は……。
――泥団子破壊少女
僕の中では杏奈の印象はこれしかない。そもそも好みの女性と言われても何が好みなのかもわからない。
「んー、付き合ったこともないし、考えたこともないかな」
「そっかー。お兄ちゃんだもんね!」
「うっ……うん」
それは喜んでも良いのだろうか。単にモテないから仕方ないと言っているようだった。
「家に戻ったらシズカに会いに行こうか」
「まだ夕飯までに時間はあるからね」
どうやら香里奈の機嫌はよくなったようだ。本当に女性って謎の生き物だ。結局、僕達は寄り道をせずにシズカが待っている鏡の中に行くことにした。
♢
【キャラクタークリエイトをしてください!】
鏡の中に入るといつものように声が聞こえてくる。
変わらない
――――――――――――――――――――
《ユーザー》
[名前]
[種族] 人間/男/童貞
[年齢] 17歳
[身長] 181cm
[体重] 65kg
[
《ステータス》
駒田 健 Lv.24
[能力値] ポイント0
[固有スキル] キャラクタークリエイト
[スキル] 逃走、急所突き、合成、短剣術、反映
[耐性スキル] 精神耐性、睡眠耐性
[称号] ホーンラビットの殺戮者
幸運の持ち主
[テイム] シズカ(種族:ホブゴブリン)
――――――――――――――――――――
魔法は使えないが、
【本日のクエストはマッドドールの討伐です】
名前からして泥人形のことを言っているのだろう。
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「ん?」
「さっき杏奈さんのこと気にしていないと言ったよね?」
確かに好みがどうかと言われたらわからないし、杏奈自体のことは気にしてはいない。
「なら、なんであれが討伐対象になっているのよ!」
僕は香里奈に言われるがまま外に出ると、そこにはポーズを決めているシズカがいた。
『これでご主人様を誘惑してやるのよ!』
香里奈から流れてくるシズカの声に僕は笑ってしまう。だって、シズカがリアル入浴シーンの練習をしていたのだ。
右手には金棒をシャワーのように持って、無い髪の毛をなびかせている。
「くくく、シズカがあんなこと――」
「お兄ちゃん? 私が言っているのはシズカじゃないわよ?」
「へっ?」
香里奈が指を差しているところには、全裸の女性がたくさん歩いていた。よく見て見ると、顔の表情はなくマネキンのような女性だ。
「あれがマッドドールだろ?」
きっと今回の討伐対象なんだろう。ゴブリンと違い人間と似た見た目をしているが、顔の表情がなければ倒しやすいだろう。
「お兄ちゃん、ここの世界って誰に影響しているって言ったか覚えている?」
僕は過去に香里奈が言っていたことを思い浮かべる。
「たしか、鏡の中はその人の感情や影響に反応して……」
「ほら、お兄ちゃん! やっぱり杏奈さんのこと好きなんじゃ――」
「いや、顔はないから杏奈ではないはずだ!」
「どっちも変わらないわよ!」
どうやら僕は初めて見たリアルな女性の下着姿に脳内がいっぱいになっていたようだ。
──────────
【あとがき】
新作の紹介です!
『庭にできた異世界で丸儲け。破格なクエスト報酬で社畜奴隷からニートになる。〜投資額に応じたスキルを手に入れると現実世界でもいつのまにか無双していました〜』
https://kakuyomu.jp/works/16817330653658858640
以前執筆していたものを、新しく書き足しながらリニューアルしました。
ぜひ、読んで頂けると嬉しいです!
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