第48話 エピローグ 人生はきっと選択の連続で
人生はきっと選択の連続で、後になってから、ああしておけばよかったなと、後悔することが沢山あると思う。
何回、自分にチャンスが巡ってくるか分からないし、巡ってきたとしても、そのチャンスを自分のものにできるかどうか分からない。
毎日、毎日、何通りとある選択肢の中から、一つを選んで進んでいる。
正解か不正解か、なんて分かるわけがない。
選ばなかった未来と選んだ未来は違っていて、自分は選んだ未来しか知らない。
だからこそ……
選んだ未来に納得がいっていないとき、選ばなかった未来だったら……と。
結果的に、望むものがなかったとしても、そっちを選んでいたら望んだものがやってきたはずだ……なんて思ってしまう。
でも……
そんなこと考えても何にもならない。
大切なのは、今ある現実をどう生きていくかだと思う。
それをするためには……
「う~ん…それをするためには…」
パソコンの前で頭を悩ませていると、後ろから声をかけられる。
「あんた何してんの?」
「えっ⁉ び、びっくりした、なんだ姫花か」
「なんだって何よ…あんたが私を家に呼んだんでしょ?」
今日は祝日。
特にやることもなく、暇だった俺はとりあえず茜たんについて語りたくなり、姫花を呼んだ。
のだが……
「って…何これ…」
俺のパソコンの画面を見て、姫花が驚く。
「シナリオ」
「えっ⁉」
さらに驚く、姫花。
まぁ、無理もないだろう。
しかも、本業の前で書いているというのだから。
プロを舐めるなと言われても仕方がない。
「いや…その…学生時代好きな子がいて、告白したかったけど、結局、言葉にできず伝えられなくて…。そこから、大人になって再会して、ちゃんとした恋愛に発展する…っていうエロゲはどうかなって…」
「ふ~ん…」
興味深そうに、俺の顔をまじまじと見てくる姫花。
「過去パートと現在パートに分かれてて、行ったり来たりする感じだ」
「それよく見る設定ね」
「絶対に言われると思った」
ありきたりと言えばありきたりだ。
所詮、ただの素人が暇つぶしに思いついた案なのだから、あまり突っ込みは入れないで欲しい。
「それに…これあんたの自己投影じゃない。まぁ、大人になってから再会して、ちゃんとした恋愛に発展するって点が、都合良い展開に変えられてるけど…」
「うっ……やっぱそう思うよな……」
「で、何で書いてるの?」
「いや、ここ最近起きたことを整理しようと思って、頭の中で整理しながら、今の自分の考えを書き出してたら…。あれ? なんかこれ、エロゲのプロローグでありそうじゃねって思っちゃって…」
「確かに、言われてみれば、ちょっとそれっぽいわね」
「だよな」
「これ…タイトルとかは考えてあるの?」
「タイトル? もうこの段階で考えるもんなのか?」
「ん~? 人によるんじゃない。ちょっと気になったから聞いてみただけよ」
「そうだなぁ…」
う~ん、タイトルか…。
この作品にタイトルをつけるとするならば、どうなるんだろう…。
「あっ! こんなのはどうだ?」
パッと思いついたアイデアを、文字にして打ち込みパソコンの画面に表示させる。
「ふ~ん…まぁ、いいんじゃない? なんか、あんたっぽい感じがするわね」
姫花は微笑みながら、俺にそう言ってくれる。
パソコンの画面には、こう表示されていた。
言葉にできなかった思いを今伝えるよ。
言葉にできなかった思いを今伝えるよ 水色 @mizuiroiro
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