第35話 現在編パート7 再会 その2

あいつが帰った後。

「あの、鴇羽? ごめんね?」

「ひ、姫花ちゃんが謝ることじゃないよ…。悪いのは私だし…。それに露草くんには素っ気ない態度を取っちゃったかな…?」

すごく反省しているような表情を向けてくる。

本当に…この子は真面目っていうか。

自分を責めなくてもいいのに。

「ううん、鴇羽は悪くないわよ。それにあいつだって、それくらいでキレたりしないと思う」

「そ、そう…かな?」

「まだ出会ってから、ちょっとしか経ってないけど、分かるのよ」

「そっか…」

胸をなでおろす鴇羽。

少しは安心してくれたみたい。

「それにしても、こんな偶然ってあるのね。同級生と再会って…」

「うん…でも…その……露草くんだったから、余計に…かな…」

「余計に? 何それ…」

「あっ……えっとね、私の日記に書いてあったんだ。露草くんのことが。だから、実際に初めて会ってみて、あ~これが露草くんかぁ~って」

「それすごくロマンチックね」

「うん…だって…」


鴇羽は震える声で、俯きながら言った。


「記憶を無くす前の私が…好きだった人に会えたんだから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る