第30話 現在編パート6 恋愛観 その1

「なんか…顔色悪いけど、大丈夫?」

姫花が心配そうに、そう言う。

「あっ…悪い、何でもない」

「何でもないって…」

「いや、ただちょっと昔のことを思い出してただけなんだ」

「一応、確認するけど…それって、あんまり詮索して欲しくないタイプのやつ?」

「まぁ…そうだな」

「そっか……。で、何があったの?」

「今、自分から詮索して欲しくないか、どうか確認してたよね!?」

「それとこれとは別よ」

「じゃあ、なんで確認したんだよ…」

「冗談よ、私も鬼じゃないし」

「悪魔?」

「殴るわよ?」

「はぁ…はぁ…ひ、姫花ちゃんに…な、殴られるなんて…はぁ…はぁ…おじさん嬉しいなぁ…はぁ…はぁ…」

まるで、興奮している変態のような反応をしてみる。

「うわぁ…あんたがやると、無駄にリアルに感じるわね…」

声をあげるでもなく、わりとマジな反応で引かれる。

「ちょっと、待ってくれ…冗談だから! そんなガチで引かないでくれ」

「はぁ…そういうのはね、私みたいな三十路間近のババアじゃなくて、あんたの妹の…未来ちゃん…だっけ? みたいな若い子に言うなら分かるけどさぁ…」

「だから冗談だって言ってるだろ! ってか…姫花?」

「な、なに?」

まだ名前呼びに慣れてないのか、少しぎこちない返事が返ってくる。

「まだババアって年齢でもなくないか?」

「いやそれはあんたがこの年になってから、言ってほしいわ…」

「大丈夫だ! その年齢だからこそ、そそるものがあるから!」

「それフォローのつもり!?」

「一応」

「はぁ…あんたねぇ…」

呆れたようにため息をつく、姫花。

「ちなみだが、未来は若いんじゃない…幼稚なんだよ」

「幼稚か…確かに言われてみれば…あんまり高校生って感じがしなかったような…。あの幼稚園児みたいなニコニコの笑顔でオムライス食べてるの、めちゃくちゃ可愛かったなぁ…ぐへへっ…」

ニヤニヤと頬を緩ませる、姫花。

や、やばい…とんでもねぇ変態がいる!?

「おい、姫花。人の妹を変な目で見るな」

「しょうがないでしょ? 可愛いんだから」

「いや、赤ちゃんとか幼稚園児があんな感じなら、可愛いだろうな。まぁ、未来の場合は可愛いを通り越して、ウザイが…」

「子供っぽい性格…だけど体は…主に胸は…たゆんたゆんで…ぐへへっ」

や、やばい…とんでもねぇ変態がいる!?(本日二回目)

「こ、今度、ちゃんと話してみたいな…。ロリ巨乳やばい…」

や、やばい…とんでもねぇ変態がいる!?(本日三回目)

最後の、ロリ巨乳やばい、が全てを物語っているんだが!?

こ、こいつ…。

さっきの俺の発言は冗談だが…これはガチなやつだ!?

「…とりあえず姫花が罪を犯す前に、俺は警察を呼ぼうと思うんだが…」

そう言って、スマホを取り出す。

「ちょっ、ちょっとストップ!?」

「あれでも一応は妹だ。変態からはちゃんと守ってあげないといけない」

「じょ、冗談よ!」

「あれのどこが冗談なんだよ!?」

「ロリ美少女の可愛さは罪なのよ!!」

何言ってんだ、こいつ。

「でも、彼女たちに罪はないの!」

「お、おう…」

若干や引き気味で、返事をする。

「いい? 彼女たちの可愛さは罪だけど、悪じゃないの」

机をドンっと叩きながら、立ち上がって天井を見上げる姫花。

その様はまるで…天を仰ぐようだ。

何を言ってるのかは、終始、意味不明だが。

「悪いのは、そんな彼女たちを変な目で見てしまう大人の視線なの!!」

「姫花も有罪じゃねぇか!?」

「有罪で結構!!」

「そこで開き直るなよ!?」

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