第20話 現在編パート4 お見合い その2

「私の馬鹿っ!?」

自宅に帰った私は、壁に頭を打ち付けていた。

「うぅ! 恋愛に発展する…とか、思ってんじゃないわよっ!?」

私は仕事柄、妄想癖がある。

しかも、かなりのロマンチストだ。

「合コンで出会って…意気投合して…酔っぱらったのを介抱されて…こ、これって…もう完全にルート入ってるじゃないっ!?」

私、めちゃくちゃヒロインみたいじゃんっ!?

や、やばい…現実に起こったことなのに、現実味が無さ過ぎて…。

そもそもこの年…二十七歳なのに、未だに彼氏いない歴=年齢。そして、処女なのは、現実では到底、起こることがないロマンチックな恋愛を求めていたからである。

恋愛に関しては、理想が高いタイプなのは間違いない。

「って、私は何を考えているんだぁぁぁぁあぁぁああ!?」

たった一日で、チョロすぎるでしょ!?

で、でも…茜を可愛いって言ってくれる最高な所があるし。

介抱してくれる優しさがあるし…。

私のことを可愛いって…あんな風なこと言われたの生まれて初めてだし…。

「ダメだぁああああ!? あ、頭から離れない!」

別に、そこまでロマンチックな出会い…というわけではないし。

いや、むしろ合コンでなんて、ロマンチストの私からすれば言語道断、論外である。

なのに…なのにぃ!?

「どうしてあいつの顔が頭から離れないのよォォォォォォォ!?」

別に、完全に恋に落ちたとか…そういうわけではない。

だけど…何というか、あいつのことがすごく気になるというか…。

「うぅ…こう思ってるの…私だけなのかな…」

もう会うことは一生ない…なんて言っちゃったけど…。

「また…会いたいな……」

そう呟いた時。

ブルブル、ブルブル。

いきなり私のスマホが鳴る。

「誰だろう…」

画面を見ると、お母さんと表示されていた。

「あっ…お母さんか…。はい、もしもし…」

どうせ、いつものちゃんとしたご飯食べてるの…?とか、彼氏はできたの…?とか、近況報告の電話だろうって思っていた。

『あのね…姫花…』

いきなり出たお母さんの声は、重い雰囲気を漂わせていた。

一体、何事だと…若干の緊張が走る。

直後、お母さんの言った言葉に声を荒げる。

「うえええええええええええっ!?」

お母さんは言った。

『お見合いを勝手に申し込んじゃった♪』と、

まるで他人事のように…。

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