第18話 過去編パート3 お昼 その2

「ふぅ…落ち着くなぁ…」

食後、鴇羽が緑茶を入れてくれたので、それを飲んでいた。

「そうだね…」

「なんか老後の爺さん婆さんみたいだな」

「え~…こんな感じ? 爺さんや、今日は心が落ち着きますね~」

「そうだねぇ…婆さん…」

うん、こういうのを夫婦漫才って言うんだと思う。

幸せ!

俺今、死ぬほど幸せ!

生きててよかった!

「ふふっ♪」

「ははっ♪」

二人して、見つめ合いながら笑う。

「おかしいよな、まだ高校生なのに、老後なんて」

「うん、そうだよね」

「でも、来年からは大学生だから…早いよな」

「まだ受験は終わってないけどね…うん、時間が経つのって早いよね…」

「いっそのこと、時間が止まったりしたら、面白そう」

「ふふっ、何それ~。止まったら大変だよ~」

「そうだよな…」

「ふふっ♪」

「ははっ♪」

こんなくだらない会話で、また笑う。

まるで、この世界に二人しかいないような。

そんな感覚になった。

「はぁ…本当に…このまま……」

「このまま…なんて言った?」

「ううん、何でもないよ…」

上手く聞き取れなかったので、聞き返したのだが、はぐらかされてしまった。


気のせいだったのかもしれない。

そう聞こえたと思いたかっただけかもしれない。

鴇羽が……


このまま時間が止まればいいのに。

そう言った気がした……。


後になった、今の俺だからこそ思う。

もしこのまま時間が止まっていたのなら。

この幸せな関係が壊れることもなかったのだろう。

いや…俺が壊すこともなかったのだろう…の方が適切な言い方かもしれない。

それ以上を望んでしまった…俺の思いが……。

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