第8話 現在編パート2 出会い その2

「んじゃ…二件目行こう!」

居酒屋で会計を済ませた後、店先で亮がそう言う。

俺と例のキチガイ以外は、どうやらみんな行くらしい。

え?さっきから、梔子さんに対する当たりがきつくなってる?

許せ、こうでもしないと平常心を保ってられないんだ。

「なんだよ、奏人は行かないのか」

「ああ、悪い。俺は帰るわ」

そう言うと、亮が他の人には聞こえないような感じで耳打ちしてくる。

「今日は悪いな。事前情報で梔子さんとお前が相性いいかなって思ってセッティングしたんだけど…まさかあんな子だったとは…」

「いやまぁ、俺も同じようなもんだし…」

合コンで緊張して、エロゲの話をしたなんて、とりあえず死にたいです。

「それに、数合わせって他の人達に騙されて、連れて来られてたんだから…まぁ、あの態度も納得できる…しょうがない」

「ま、まぁ…これに懲りずに、グイグイ恋愛を、出会いを探してくれると、親友としては嬉しいんだけどな…」

長年の付き合いだ。

こんな一々、俺に気を遣わなくてもいいんだけどな。

「おう。気が向いたらな」

「それ絶対にやらないやつだよな。はぁ…今日のところはいいや。んじゃ、またな」

そう言って、夜の街に消えていく亮。

しばらくして、姿が見えなくなった辺りで、俺は家に帰ろうと思い、駅の方へと歩き出す。

「ねぇ、ちょっと!」

はぁ…それにしても、今日はやっちまったな。

好きな乳輪の話のほうがましだっただろうか?

「ねぇってば!」

いや、何を考えてるんだ俺。

どっちにしても、アウトだろ。

「あのっ!」

はぁ…そう言えば、同じようなことを撫子に言っちゃった時あったなぁ…。

「さっきから呼んでるでしょうがっ!?」

「痛ってぇ!?」

突如として、右足に痛みが走る。

「何すんだ、てめぇ!」

「あんたが無視するから、足を踏んだだけでしょ!?」

「はぁっ!? ………って、梔子っ!?」

「いきなり呼び捨てなんて…。合コン中はさん付けだったのに、あんたやっぱり猫被ってたでしょ?」

なんで分かったし。

というか、今はそこじゃない。

「俺に何の用だよ?」

「ちょっと私に付き合いなさい?」

「は?言ってる意味が分からないんだが……」

「いいから!」

「お、おいっ!」

梔子に手を引かれ、連れていかれる。

流石に女性からの誘いを振りほどけるほど、俺はクズではないらしい。

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