第7話 現在編パート2 出会い その1

「おーい、奏人~?」

「はっ! ご、ごめん、ボーっとしてた」

「おいおい、女の子達を前にして、ボーっとすんなよ」

笑いながら、茶化すようにそう言う亮。

やべぇ。撫子とのことを思い出してて、ボーっとしてたなんて、絶対に言えない。

というか……

よくよく正面を見てみると、女性が三人。

おい、待ってくれよっ!?

気付かぬ内に、合コンが始まってるだが!?

「んじゃ、揃ったことだし、自己紹介を…」

亮がそんなことを言い出し、俺は慌てて周りをきょろきょろ確認する。

前方には女性が三人。

そして、亮の隣には金髪イケメンが。

え?こんなに人増えてんのに、何で俺は気がつかなかったんだよ…。

「まずは俺から、文月 亮です。今日の合コンの主催者です、女の子達はみんな気軽に亮って呼んでね~」

流石、ヤリ〇ン。

女の扱いや、合コンに慣れてやがる。

亮の自己紹介が終わると、拍手が飛び交う。

ただ一人を除いて……

俺は現在、一番端の左側の席に座っている。

俺から見て、右前にいる二人の女性は亮が挨拶した時に「亮く~ん」なんて言いながら、拍手していたのだが、目の前の女性。

ロングの金髪に、ぱっちりとした青い瞳が印象的の彼女は、つまらなそうにして、自己紹介後の拍手もしていなかった。

嫌々、私はここに来ましたよ…と言わんばかりの態度だ。

それから、みんな順番に挨拶していき、目の前の彼女の番がやってきた。

「梔子 姫花(くちなし ひめか)です。今日は…えっと…数合わせで、仕方なく来たので、男に興味はありません…」

そう言う、梔子さん。

そんな梔子さんを見て、他の女性達がフォローする。

「ちょっ、姫花!」

「え、えっと…彼女はちょっとその…気難しい感じなので…」

そこでさらに、亮がフォローに入る。

「か、数合わせでいきなり呼ばれて、嫌だったよね。ごめん! と、とりあえず、今日、梔子さんの分は俺が奢るからさ。飲食目的で来たと思って楽しんでくれればいいかなって……あははっ……」

おいおい、亮の渇いた笑い、久々に見たぞ。

この梔子という女性…やばい奴だ。

関わらないようにしよう。

「えっと、それじゃあ、気を取り直して…」

そう言って、俺の方を見てくる。

最後、俺の自己紹介の番が回ってきた。

うん、どうしよう!?

緊張で頭、真っ白になるんですけどっ!?

と、とりあえず、みんなこっちを見てる(例のアイツ以外)。

名前を言って…そこから無難に趣味とかを…。

「は、初めまして! 露草 奏人って言います! え、えと…今まで女性と付き合ったこととかなくて、恋愛難民ですが……」

や、やべぇ。

緊張で、自分が何言ってるのか、何を言えばいいのか分からなくなってきた…。

「エロゲで沢山のヒロイン落としてきたので、問題ないと思います! 最近の趣味は年上お姉さんキャラを落とすことです。特にオススメのゲームがあって、出会いの花は何色ですか?ってやつなんですけど、この作品に出てくる茜っていうお姉さんキャラが超可愛くて、三十路直前の二十九歳なんですけど、お姉さんなのに時たま見せる子供っぽい所がもうやばくて……」

「「「「……………」」」」

ん?

例のアイツ以外、みんな、きょとんとしてるんだが…。

俺、今、なんか変なこと言―

ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!?

頭の中が真っ白になって、何か言わないとって思って、とりあえず口動かしたら、とんでもないことをしてしまったっ!?

や、やべぇ!?

普段よりも、おしとやかな男子で行こうと思い、口調を変えて猫を被ったわけだが。

被ったのが裏目に出たぞ、これ。

「……すいません、何でもないです。よろしくお願いします…」

そう言うと、みんな苦笑いした状態で拍手をしてくる。

うぅ…その優しさが辛い……。

「っ~~!」

「?」

気のせいだろうか?

今、めちゃくちゃ例のやべぇ奴に見られてた気がするんだが。

まぁ、多分、気のせいだろう。

それよりも、この合コン、早く終わんねぇかな。

俺もう、この場にいるだけで、毒の沼地みたいに継続ダメージくらいそうだわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る