第4話 過去編パート1 出会い その1
キーンコーンカーンコーン。
耳うるさいチャイムが俺の眠りを妨げた夕方。
「うるせぇ…」
「奏人。授業中、ずっと寝てただろ?」
一日の最後の授業ともなると眠くなるのは必然。
それに…どうせこの後は放課後だ。
家に帰って寝れるし。
「別にいいだろ? どうせ帰って寝るだけだし」
「あれ? 奏人には言ってなかったっけ?」
「ん? 何が?」
「来月、修学旅行があるだろ?」
「ああ。みんな、楽しみにしてるあれね」
「なんか棘のある言い方だな…」
高校生活、最後の修学旅行。
そんな響きに浮かれるのは分かる。
しかし…だ。
はっきり言って、俺はだるいからあまり行きたくない。
朝起きる時間を強制され、グループ行動を強制され、旅行とは?ってハテナが浮かんでしまうからだ。
サボろうかな…なんて思いもしたが、すでに親が旅費を払っているため、サボったら、おそらく親にぶち殺されるだろう。
「それで、どうしたんだよ?」
「奏人は俺と同じグループだろ? なんか行き先の予定を立てて、先生に提出しないといけないらしくて」
「へぇ…」
まぁ、旅行で行き先を予め決めておくことは、効率よく楽しむために必要不可欠だろう。
「んじゃ…頑張ってくれ、俺は帰る」
そう言って、席を立った俺の首を亮が腕で絞めてくる。
「ストップ! ストップ! 痛い痛い!」
「何、逃げようとしてんだよ。奏人も一緒に考えるんだ」
「分かった! 分かったから…うっ苦しい…」
そう言うと、俺から離れる亮。
「分かればいいんだ」
「お前…運動部で筋肉わりとついてるんだから……そういう人間はもっと優しい使い方をしないといけないんだぞ。自分の筋肉に失礼だと思わないのか?」
「逃げる奏人が悪い」
「めんどくさいから、しょうがないだろ」
「いいから、行くぞ?」
「あっ…ちょっ!」
亮に手を引かれ、俺は教室を後にした。
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