『なんでも屋』の店主との出会い
『なんでも屋』の張り紙を見つけた翌日、朝起きたユキマサはいつもよりも気持ちが軽かった。
母親を会社に送り出した一時間後、ユキマサは家を出た。眼鏡を掛けると、『なんでも屋』に向かって歩き出した。心なしか、いつもよりも足取りが軽かった。夏のまとわりつく暑さも、いつもよりかは気にならないような気がした。
歩いて三十分。『なんでも屋』の前に到着した。扉には昨日見た張り紙がちゃんと張られている。
ユキマサは何度か、ドアノブに手をかけては手を離すを繰り返した後、意を決して怪しげなお店の扉を押した。
すんなりと扉が開き、ユキマサは店の中に一歩踏み出した。ガチャリと扉が閉まる。
中はカフェのような内装で、正面にはカウンター、右横にはテーブルが四つ、右奥には個室らしき引き戸がある。カウンターの奥にも引き戸があり、そこは店主の居住スペースなのだろう。それにしても、外観よりもはるかに広い部屋だ。外から見た建物からは、想像できないほど広い。外観から想像できる広さの数倍広い。
カウンターの中には一人の男性がいる。彼は椅子にふんぞり返って座り、カウンターに靴下を履いていない足をためらいなく乗せて、本を読んでいる。開かれた本で隠れていて表情はうかがえない。
男は扉の音でユキマサの存在に気付いているはずなのに、本から顔を離す気配がない。しばらく待ってみても、動き出す気配がない。
ユキマサは遠慮がちに「あの……」と声をかける。
反応がない。
「あの、『なんでも屋』の店主さんですか?」
今度は先ほどよりも声を張って、男に声を掛けた。すると、男は本を閉じて、無頓着に床にポイっと落とした。そして、カウンターから足を下ろすと、ユキマサの方に顔を向けた。男は二十代半ばくらいで、少し長めの前髪に、妖しげな微笑を浮かべている。
「そうだよ~」男は軽い口調で首肯した。「そんな緊張すんなって。全体的に硬いぜ。さ、とりあえず座れよ」
男は顎で自分の目の前の席を指した。ユキマサは男に促されて、男の正面の席に座った。満足げにそれを見ると、男は微笑みを崩さないまま、じっとユキマサを見つめた。何をしゃべるでもなくひたすらに笑みを浮かべている。
沈黙が続く。
男の意図が分からずに困惑した。感情が読めない表情で見つめられて、居心地が悪かったユキマサは、謎の沈黙に耐えられなくなり、戸惑いを隠さずに男に声を掛けた。
「あの、なんですか?」
「ん? 特に理由はないよ。ねー、何でここに来たの?」
「えっと、母親のことを相談してみたくて。あの、ここって、そういう、家族に関する悩みっていうのも、聞いてくれるんですか?」
「まあ、聞いてやらないこともねーけど。本業はちげーよ。ほら、張り紙に書いてあっただろ」
「欲望を叶えること、ですか?」
「そ。それそれ。この店に入れた人間の欲望を何でも叶えてやることが、まあ、俺の仕事、というか、趣味っていう感じだよ。なんか質問ある?」
男は優しく問いかけた。
ユキマサはしばし考えて考えた。男はせかすことなくじっと待っていた。
「えっと、名前なんですか? まだ聞いてなかったなって思って。あと、名乗るのが遅れました。俺の名前はユキマサです」
「そっか。俺はムゲン」
「ムゲンさんですか。よろしくお願いします」ユキマサは軽く頭を下げた。
「ストップ!」とユキマサの言葉にかぶせるようにムゲンは言った。
ユキマサは少し驚いて、ムゲンの顔を見た。自分の発言に特におかしなことはなかったはずだ。
「そーゆーのなし。俺のことは、呼び捨てな」
「でも……」
「でもじゃねーよ。俺がそう言ってるんだから、従えよ」
男の声が急に低くなった。だが、顔は微笑みを浮かべたままだ。ユキマサは顔と声のギャップに自分の耳を疑った。軽くてどこか宙に浮いたような声が、一瞬で、地を這うような重力を感じる威圧感のある声に変化した。
「あ、あと、敬語もやめてよ。なんかイヤだ。かたい」
ムゲンは子供っぽく不満げに顔を歪めた。さっきの低い声は幻聴だったのかと思うほど、一瞬で元の声に戻った。
「えっと、名前はわかりました。ですが、ムゲン、俺はこの喋り方が一番話しやすいので、気にしないでください」ユキマサはムゲンの顔色を伺ったが、何も読み取れなかった。
「そっか。わかったよ」
ムゲンの表情が微笑みに戻った。彼があっさりと受け入れてくれたことにユキマサはほっとした。それが表情に出ていたのか、ムゲンは軽く笑った。
「俺の知り合いにも、お前みたいな喋り方する奴いるけど、あいつはなんか、かたくるしくねーんだよ。なんつーか、言葉遣いが丁寧なくせに、敬いの感情がかけらも感じられねーで、むしろ見下してる感じが伝わってくる感じなんだよ。それなのに、好青年って言われてるのが、面白いんだよな」思い出したようにムゲンは笑みを浮かべた。「あ、他に質問は?」
「えっと、叶えられる欲望って、例えばどんな感じのですか?」
「えーっと、例えばね。例えば、付き合いたい人がいるからその人と恋人を別れさせてとか、出世したいから何とかしてくれとか、あいつが邪魔だから殺してくれとか、かな。それ以外でも、たいていの欲望は叶えてやれるぜ。だが、叶えるとはいってもだ。それで依頼主が不幸になるか幸福になるかはわからねーけどな」
「殺す、なんて本当にできるんですか」
「もちろん」ムゲンは即答した。「だが、俺はやらねー。汚れるし、俺は弱いからな。だから、知り合いに任せてる。ちなみに、料金も上乗せな。料金っつっても、金とは限らねーんだ」
「じゃあ、なんなんですか?」
「なんだろうな。あいつらの気分で変わる。金の時もあれば、何か品物の時もある」
「そうなんですね。そういえば、今日の相談料っておいくらですか?」
ユキマサは相談料の存在を思い出した。殺しの依頼料なんかよりも、今はこっちのほうが重要だ。自分が持っている金で足りるだろうかと少し心配になる。相場がわからないから、ムゲンに提示された料金に文句の言いようがないのだ。
ムゲンはユキマサの顔を見て考え込んだ。いったい何を要求されるのか不安に思いつつもユキマサは静かにじっと待った。
ムゲンはなんか思いついたように笑みを深めた。
「お前、家事出来る?」
「え? ああ、えっと、そうですね、出来なくはないです。もう何年も家事なんてやってないですけど、一応、一通りは出来ると思います」ユキマサは戸惑いながら答えた。
「ふーん。じゃあね、相談だけなら無料にしよっか。ただし、お前の欲望を叶えるのには、俺が望む対価をよこせ」
ムゲンの質問の意図がよくわからなかったが、相談料が無料になったので、ユキマサは自分の答えが正解だったのだと思い安心した。途方もない金額を請求されるのではないかと内心気がかりだったのだ。
「あの、ムゲンが望む対価ってなんですか?」
「聞きたい?」ムゲンは机に肩肘をついてユキマサを見上げ、にやりと口角を上げた。
「はい、聞いておきたいです」ユキマサは迷わずに言った。
「決まってないよ。……あはっ、そんなさ、『は?』みたいな顔しないでよ。だって、俺の気分次第なんだもん」
「わかりました。じゃあ、例えば何ですか?」
「えー? しょーがねーな。答えてやるよ。まあ、そん時俺が欲しいもんなんだよね。お金欲しーなって思ったらお金ちょーだいって言うし、食べ物欲しいって思ったら食べ物だし、服欲しーなって思ったら服だし、宝石欲しいなーって思ったら宝石だし、本が欲しーって思ったら本だし、人間が欲しいなって思ったら人間だし、……お前が欲しーなって思ったらお前自身が対価だよ。わかったかな?」
「……最後の二つは冗談ですよね」
たじろぐユキマサ目の前に、ムゲンはただ微笑むだけだった。どれだけ待ってもムゲンは答えをくれないことは明白だったので、ユキマサは諦めて、軽くため息をついた。
「あ、対価はね、欲望をかなえた後に請求するから、拒否権はナシだよ」
「もし用意できなかったらどうなるんですか?」
「え? 何が何でも用意させるけど?」さも当然のようにムゲンは言った。「でもさ、お前、今日は相談しに来ただけなんだろ?」
「そうですよ」
「ならさ、今は気にしなくていいだろ。そんなこと。相談だけなら無料って言ったろ? 対価なんて気にせずとりあえず話せよ」ムゲンは優しく言った。
ユキマサは確かにそうだと思い、ムゲンに母親のことを話そうとした。
だが、言葉がうまく出てこなかった。ムゲンは今まで人に相談したことがないから、何から話せばいいのかよくわからないのだ。それに、もし目の前の男に話してもどうにもならなかったら、二度と母親は母親には戻らないと言われたらどうしよう。頭に次々と不安が思い浮かんできて、話すことに怖気づいてしまった。
うじうじしていつまでも話し始めないユキマサにしびれを切らしたのか、ムゲンが先に口を開いた。
「ㇵッ、自分の意思でここに来たのにビビってんのかよ。ダサッ」ユキマサを嘲るようにムゲンは鼻で笑った。
「なあ、俺が、タダで、話聞いてやるっつってるのに、話さねーのかよ。つまんねーな。いいぜ、別に。だが、用がないなら帰れ」ムゲンは冷たく言い放ち、興味を失ったように無表情になり、椅子の背もたれに寄りかかった。
目の前の男から冷気が漂ってきているようで、ユキマサは鳥肌が立った。口を開こうとするが開けない。
ユキマサは確かに自分の意思で『なんでも屋』に来た。自分の意思で母親のことを相談しようとした。ムゲンに時間を割いてもらっている。だから何か言葉を発さなければならない。しかし何を言えばいいのかわからない。言葉が浮かんでこない上に、目の前の男を怒らせてしまったという事実に、息が苦しくなってきた。
怯えた様子のユキマサに、ムゲンは心底面白そうに笑った。途端に、冷たい空気が嘘のように消た。ユキマサは息を吐いた。
「あはははっ! お前、おもしれーな。そんな怯えないでよ」
「怒ってたんじゃないんですか?」おずおずとユキマサが聞く。
「まあ、とっとと話せ意気地なしとは思ってたけど、怒ってはねーな。俺、そんな短気じゃねーぞ。ちょっとお前で遊んだだけさ」全く悪びれる様子もなく、平然とムゲンは言った。
ムゲンの雰囲気が変わったことに焦っていたユキマサは軽く舌打ちをした。人の感情で遊ぶのはやめて欲しい。
「まあまあ、そんな怒んなよ」
「よくこんな店にお客さんが来ますね」
「すげーだろ」
「ホメてませんよ」
「あっそ。お前、相談は出来ねーくせにフツーに喋るよな。じゃ、こうしよう。お前、この店についてどう思う」
「えっと、どう、とは?」
「なんでもいーよ。第一印象とか、まあ、いろいろ。とりあえず思ったこと話してみ」
ユキマサは少し考えてから口を開いた。
「最初は、怪しい店だと思いました。張り紙には『殺す』とか『殺し屋』とか書いてありましたから」
「それから?」
「店の中はカフェみたいだと思いました。でも、ムゲンがカウンターに普通に足乗っけてたので、カフェじゃないとは思いました」
「それから?」
「えっと、あとは、カウンターの中が汚いです。物が散乱しています。棚がちゃんとあるのに、床に物がごちゃごちゃしてます。なんで片づけないんですか?」
「やっぱりカウンターの中気になるよな!」ムゲンは身を乗り出して、ユキマサに同意を求めた。
「はい、そうですね、気になります」ユキマサは軽く驚きながらも、求められる通りに同意した。
「だよな。あのさ、ここって、テーブルが四つ置いてあるでしょ? それと、あっちに個室あるじゃん」ムゲンは、ユキマサから向かって右側を指さした。
「はい、ありますね」ユキマサは視線を右に向けながら言う。「個室の中はわかりませんが、あっちはきれいですよね」
「そりゃあね。だって、あっちのテーブルに置いてあったやつとか、床に落ちてたやつとか全部カウンターの中に投げ込まれたんだぜ。ひどくね?」
「なんで、そうなったんですか?」
「えーっと、ここによく来るやつらがいて、そいつらが片付けろって言ったの。でも、テーブル一つ使えりゃ十分じゃんって思って。そしたらさ、全部、カウンターの中に投げ込まれた。個室の中の奴も全部投げ込まれた。な、ひどいだろ?」
「いや、全部、ムゲンが悪いです。片付ければいいだけでしょ。そこに落ちてるのってほとんど本ですよね」
「そーだけど」不満げな様子でムゲンは椅子の背もたれに寄りかかった。
「なら、本棚に入れればいいだけじゃないですか。その、カウンターの奥の部屋とかにないんですか?」
「ない」
「なら買って、置いて、そこに並べればいいんじゃないですか?」
「えー。どうせここで本読むんだから良くない?」
「でも、本踏んじゃいませんか?」
「いや、大丈夫。痛いから踏まねー」
「いや、足の踏み場があるようには見えませんけど」
「あるじゃん」そう言ってムゲンは自分が腰かけてる椅子を軽くたたく。
「確かに、その椅子に座ってればいいかもしれませんけど、奥の部屋に移動するときとか、カウンターから出るときとかはどうするんですか?」
「奥の部屋の扉の前にはね、低めの踏み台があるからそこ踏めばいいし、この椅子の上から、カウンターに手をついて飛び越えればいい」
「そうですか。困ってないなら別にいいです」ユキマサは投げやりに言った。
ムゲンはくつくつと笑い、笑みを浮かべたまま、ユキマサのほうをまっすぐ見た。
「で、それから?」
ユキマサはムゲンがどんな答えを望んでいるのか全く見当がつかなかったし、特に何も思いつかなかったので、ありのままを言うことにした。
「特に思いつかないので、それくらいです」
「ふーん。そっか。ところでさ、お前に友達はいる?」ムゲンは頬杖を突きながら問うた。その顔には、やはり感情の読めない微笑みが浮かんでいる。
「……なんですかいきなり」
「いいから答えろ」
「いませんよ」
「いつから?」
「高校の時にはもういませんでしたね。中学の時はまあ、多少はいました。とはいっても、お小遣いなんて存在してなかったので、遊びに行ったことはないですけど」
「彼女は?」
「一人だけいました。高校の時に。一か月にも満たない期間でしたけど」
「彼氏は?」
「一人もいません。そもそも友達がいない人間に恋人なんてできませんよ」
「へー、人話すの嫌い?」
「……別に嫌いではないですけど、好きでもないです。人と話すって疲れるので、進んで人と話したいとかはないですけど、話しかけられたら話します」
「友達とか恋人とかほしくないの?」
「欲しいとは思いませんけど、欲しくないわけでもないですね。でも、ここ数年は友達とか恋人とかいう、なんていったらいいんでしょうか、浅くなくて、簡単には切れない人間みたいなのはいないので、めんどくさそうだな、とは思います」
ムゲンの質問攻めは続く。ユキマサは目の前の微笑みを張り付けた男の意図がつかめなかったが、理由を聞いても答えてくれないのは明白なので、とりあえず答え続けることにした。
「セフレは?」
「いない、と思います」歯切れ悪くユキマサは答えた。
「抱いたことある?」
「……ノーコメントでお願いします」
「抱かれたことは?」
「……ノーコメントでお願いします」
「あ、忘れてた。なあ、キスしたことある?」
「ありますよ」
「相手誰?」
「……ノーコメントでお願いします」
「別に興味ないからいいけど」
「なんで聞いたんですか」
ユキマサは即突っ込み、呆れたようにため息をついた。
ムゲンは「あはっ」と笑うと、ユキマサの疑問に答えるそぶりすら見せなかった。ユキマサの質問が聞こえていないかのようだ。
「そんなことより、お前、母親嫌いなの?」
ユキマサは何の前触れもなく、本題に戻ってきて呆気にとられた。「なんだこいつ」と内心思いつつも、表には出さなかった。
「わかりません」ユキマサは感情の無い表情をしている。
「なんで」
「俺の母親、狂ってるんです」ユキマサは淡々と言った。
「詳しく」
「簡潔に言えば、母親が息子を息子だと認識してくれないんです。俺は、母さんの恋人、俺の父親だと思われてるんです。だから、俺は母さんが望む通りに、会ったこともない母さんの恋人を演じています」
「へー、おもしれぇ。いつから」ムゲンは興味津々と言った様子だ。
「中三の夏からです。喧嘩して、その時に、俺が言っちゃいけないことを、勢いに任せて母さんに言ってしまったんです。そしたら、母さんがおかしくなってしまいました。俺を、音信不通の恋人だと思い込むようになってしまったんです」感情を感じさせない声でユキマサは言った。
「いいねえ、そういうのオモシロいわ」ムゲンはおもちゃを見つけた子供のように楽し気な笑みを浮かべ、「なんで、誤解とかないの?」不思議そうに聞いた。
ユキマサは悲し気に辛そうに顔を歪めた。
「だって、俺が全部悪いんです。俺が余計なこと言わなければ、こんなことにはなりませんでした。俺が余計なことを言わなければ、今でも、親子でいられたかもしれません」
「つまり、罪悪感があると」
「そうですね。母さんに対する罪悪感で、離れられないんだと思います」
「お前の母親を狂わせた原因って、お前の父親だろ? お前悪くねーじゃん」
「いえ、それでも、正気にとどまってた母親を、狂気に突き落としたのは俺です。とどめを押したのは俺なんです。俺が、悪いんです。だから、俺には母さんのそばから離れるなんて許されてないんです」
「ふーん。お前の認識はそうなのね。俺には親なんぞいねーから、わかんねーけど、なんでそんな母親の妄想につきあえるの?」わからないとムゲンの表情に書いてある。
「母さんはきっと元に戻るって思い込んでるんです。いつか、昔のお母さんが戻ってくる、っていう希望を、信じ込んでるんです。バカみたいですよね」ユキマサは自嘲の笑みを浮かべた。
「へー。今でも元のおかーさんに戻ってきて欲しいのね」
「そうですね。昔みたいな親子に戻って、昔みたいに暮らしたいです」ユキマサは懐かしむようにどこか遠くを見ている。
ムゲンは「そっか」と相槌を打つと、椅子の背もたれに寄りかかった。
「じゃあさ、お前が話したいこと全部話せよ。母親とのこと誰にも話せないんだろ」
「そうですね」ユキマサは頷いた。
「話してよ。お前の気が済むまで聞いてあげるよ。俺、興味出たんだよね、お前の昔話に。悩まず、思うがままに口を動かせ。ためらうな。衝動に任せろ。いつの話でもいーぜ。お前がよちよち歩きの時のお話でも、最近あったことでも、好きに吐き出せ」
ユキマサは悩んだが、その時間は数秒だった。話したいという欲求を抑えられなくなったのだ。今までため込んできたものを吐きだせるまたとない期待だ。逃す手はない。
「俺の話を聞いてください」
ムゲンは何も言わずに、ただうっすらと笑みを浮かべてユキマサの方を見ていた。
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