第44話 神殿転移と天界転移

【神殿転移】

 二日酔いの3人は留守番…冥耶と那岐の2人が俺に付いて来てくれた。

 早速、神様のスキル神殿転移で飛ぶ…


 ヒュン!

 転移で到着した場所は目の前に建物があったが…


「ねえ…ここってドラゴンオーブに出てきた神殿…じゃ無いじゃん」

「確かに床と言うか地面は円形なのはそっくりだけど建物の形はギリシャの昔の建物みたいだよね?」

 那岐と冥耶の言う通り…


 気になって武空術で空を飛んでみると確かに空中に浮かぶ半球の上に建物が建ってるのは同じなんだけど、ドラゴンオーブに出てくる建物とは違いギリシャ神話に出てきそうな建物で構成されていた。


 スマホで写真を撮り2人に見せると「違う」との見解は一緒だった。


「ドラゴンオーブなら神殿にはアノ人いないの?」

「ミスターポポンね~」

 ミスターポポンは神様の付き人みたいな役割の人物で確かにここがドラゴンオーブの神殿ならいると思っても間違いではない…

 だが建物が違う時点でいない可能性も高い…


「とりあえず中に入ってみよう~何か分るかも」

 俺がそう言って建物に近づくと…


 突然目の前に光が発生して人型へと変わっていく…


「みんな注意しろ!」

 何が現れたのか?

 光が収束してはっきりと現れる…


『警告!ここを神の神殿と知っての侵入か?』


 流暢に喋る金髪の綺麗な女性…天使みたいに翼は生えてないが天使と言われても納得できる〜その女性がふわふわ浮かびながら警告してくる。


 ってか〜神の神殿?!

 本当の神の神殿って意味か?

 神様って本当に存在したのか?


 う〜神様に嘘を言ってもバレるだろうし正直に答えるか?


「自分の名前は神宮寺彰人です。ここに来たのは自分のスキルで転移してきたからです…こちらの女性が冥耶・ハミルトン、そしてこちらが甲斐道那岐です」


『スキル?…あなたの力を見せてもらいます』

 女性は手を俺に翳してスキャンしているような…

 ほんの10秒ぐらいか


『確認しました…確かにそのスキルならここへの侵入も可能…あなた達に悪意は無いようなので不問にします』

 へ?はあ…良かった、どうやら許されたようだ…


「あ、ありがとうございます…」


『それでは後は神の代行者が代わりに案内します。』

 と言った瞬間に女性が消えて男性?少年が代わりに転移してきた。


「初めまして…私は神の代行者…シンとでもお呼び下さい。」

 少年…年齢的に高校生ぐらいで雰囲気がドラゴンオーブに出てきたトラックスに雰囲気が似ていた。

 黒髪なのと背中の剣が大太刀の違いだけ…


「初めまして神宮寺彰人です」


「先程のやりとりは見せていただきました〜どうやら天界転移もあるようですがまだ使ってないようですね」


「はい」


「使ってみてください…私はここであなた達をトレースして追いかけますので…」


「え?…ああ、分かりました。2人とも俺の手を取ってくれ。」

 冥耶と那岐は俺の手を取り…


【天界転移】


 俺達3人は神殿から消えて…


 次に現れたのは…



 そこはさっきの神殿と違い空中に浮かぶ未来的なデザインで、しかし花や木や植物などで彩られて…

 しかも天使や神様の様な格好の人達…いや天界と言われるのに相応しい存在がいた。


 そんな中で制服を着ている職員的な格好の方達も見えて天界とは不釣り合いな雰囲気もある。


「ようこそ天界へ…こちらへどうぞ」

 そう言うとシンは俺達をテーブルのある空間に案内する。


「どうやらあなたのスキルは本物のようですね…ただあなたはその力を使いこなしてない様子」


「はい、そうですね…使いこなしてはいませんね」


「しかしその力が宿るという事は、あなたには天界と縁がある存在と言えますね」


「…(天界と縁か…)」


「さて飲み物をどうぞ」

 そう言うと何もない空間からコップが出されて既に中には透明な液体が注がれていた。


「天界の水です…どうぞ遠慮なく…」

 俺達はコップを受け取りシンは毒見役なのかそのまま飲んで安全をアピールしたのでそれぞれ飲むのだが…


「「「?!」」」

 何だこれ?水?…冷た過ぎず温くも無く…飲むと身体に染み渡る…神の水?


「兄貴…これ…何?水?」

「美味しい…何か身体に良いのは凄い分かる!」


「天界の水です…浄化された水ですから身体に良いですよ~」


 俺達が落ち着いたところで…

「さて、ここでの話はご自由にしてください~秘密にしてもいいですし誰かに喋っても構いませんよ。」


「え?喋っていいんですか?」

 俺達はお互いの顔を見ながらシンの言葉に驚く。


「どのみち信じてくれる人はいないでしょうし…信じたとしても極少数でしょうし~」

 シンの言葉に嘘はない…ってか嘘看破が働かない?

 そう言えば神殿で会った女性とシンから危機感知が発動しなかったが…何故だ?


「多分、認識阻害、偽証など様々なスキルは私も勿論、天界にいる者には通用しませんので…神宮寺君がレベルを上げていけばその限りではありませんが…」

「え?俺の考えてる事が筒抜け?」


「曲りなりにも神の代行者を名乗りますから念話でも大丈夫ですよ」


「あの…シンさんって代行者と言うぐらいですから普通の人なんですよね?」

 冥耶はシンの正体が気になる様だ。


「はい、普通に日本で高校生をしていますよ…ただ既に別世界で40年程、冒険や討伐していますから肉体年齢は16歳ですが…精神年齢は50以上は超えてます。」


「精神年齢?」


「元々私は勇者召喚システムで選ばれた者でして…異世界転移で5回程、世界救済を行い、魔王討伐等数知れず…今は宇宙魔族討伐が主でたまに勇者のサポートを行うぐらい…」


 勇者召喚システム?

 異世界転移…世界救済…魔王討伐…

 宇宙魔族って何?

 勇者のサポート…


「ああ〜すいません混乱してしまいますね…簡単に言うと…」


「お疲れ様、シン…彼らが神殿に侵入した方達かしら?」

 そこには金髪美女と言って良い存在が急に現れた…天使?神様?

 しかし格好はさっき見た職員みたいな制服を着ている為、天界では無ければ綺麗な美人さんに見えるが…


「あ…お疲れ様です。皆さんこちらは私が仕えてるアルテミス様です。」


「この天界でアルテミスを名乗らせてもらってます…よろしくね、神宮寺君、ハミルトンさん、甲斐道君!」


「アルテミス…様…?」

 アルテミスってギリシャ神話の?

 でも名乗らせてって…

 どういう意味だ?


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