第43話 デウス残党の暗躍とスキル検証

「頼むよ…ボス…悪かった…こ、殺さないでくれ!」

 見窄らしい格好の男が膝をついて懇願する…


「勘違いするなよ~俺はもうボスじゃない!…全くお前達のせいでデウスは壊滅した…お前達の悪事も俺の目的の為、目をつぶっていたがな〜まさかデウス発祥である最初のビルを爆破して部下を道連れに殺すというような愚かな真似をして…命乞いか!」

 男はかなりの怒号を吐きながら見窄らしい男へ告げる。


「あの爆発は俺じゃ無い…です…アレやったのは…くえっー!!?」


 首を掴まれ話しを続けられない。


「ああ…お前は爆弾を設置してない…爆弾設置したバカはいずれな…だがデウスの名前を犯罪組織として知らしめて、公安に知られた行動はお前の不注意だがな」

「ぐっう…あ…」

 首を掴んでいたせいか泡を吹いて気絶したようだ。


「アイツとの約束だから殺さずに公安に渡す……俺の罪はその全てを終えてからだ…」

 気絶した男に手錠と猿轡をかけて首根っこ掴んで引き摺る。


「妹が生き返って助かるのならデウスなど…」

 男は吐き捨てながら気絶した男を連れて行く…



 ******************************



『菅生リーダー、目標発見!』

『了解!そちらに人員を送るので待機していて…』

『了解です!』



「こいつがデウスの幹部なの?国木田?」

「ええ…忘れもしませんよ…この顔は…」

「そう…気持ちは分かるけどバカな真似はしないでね」

「ええ分かってますよ…コイツには自分のしてきた事の責任を取らせたいですから…」


「そう…分かってるならいいわ…連行して!」

 国木田と同僚が男を連行していく…


「連絡くれた人はいないのね〜」

 八賀裏は周辺を見ながら菅生に聞く。


「そうね…これで4人か…後、何人いるかしらね」

「捕まえた幹部連中は、3人共に調書じゃ色々喋ってくれるけど…肝心のボスや参謀の情報はイマイチ一致しないのよね~」

「こういう時、レプ先生がいれば…はあ~全く頼り過ぎね」

 魔眼を使っても有益な情報は得られなかった。


「にしてもゼウスの前身が犯罪組織では無く、ダンジョン被害者救済から始まった寄合だったなんて聞くとやるせないわね」

「組織まで大きくなる間に何があったんだろうね…その辺も当時の記録に残ってる寄合の頃のメンバーとか調べようかしらね~」



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「冗談じゃないわよ~どんどん近づいているわよ…どうするのよ?!」

「ボスを怒らせる事をした張本人が…俺が匿わなかったら既に公安に捕まってるぞ~いやボスに…」


「ねえ~なんとかしてよ!私はあんたの指示で動いていたのよ!」

「だがスキル切除手術後の本体を好きにして良いとは誰も言ってないぞ…全く~まさか俺の知らない間に臓器摘出に売買、そして変態に売ったりとか…ボスが怒って当たり前だな」


「…だって…そりゃ~仕方がないじゃない!欲しがる変態による需要と自由になる本体による供給よ…少しは旨味が無きゃやってられないわ!」

 悪びれる事なく言い放つ…


 やるならバレないようにやれと心の中で毒づくが…

「何とか逃げ切るか?代わりになるモノを差し出すか…」


「代わりになるものって何?」


「例えば…前に会議で話題になったコスプレとか…」


「コスプレ…あ〜あの訳分からないスキル持ちね」


「ボスはあの力に興味があったみたいだから…あのスキルを奪ってボスとの交渉材料としては、ありなのかもしれない」


「最近、あの連中はデウスレイヤーズなんてふざけた名前で活動してるわね」

 苦々しい顔で呟く。


「とにかく調べてみよう…行くぞ」

 2人は暗闇に消えていく…


 *****************************


 そろそろ寝ようとした時にスマホが鳴り…

 菅生さんからだった。


『はい…はい…分かりました…すぐに派遣します…では…』

 電話を切ると俺はレプリに…


「レプリ…菅生さんからご指名だよ…幹部を捕まえたが、なかなか一筋縄ではいかないらしくて…」


【私は構わないが…こちらの方は大丈夫か?】

 デウスの動向が分からない以上心配するのは当然だろう。


「そうだな…引き続き警戒するつもりだがデウス自体が壊滅してるし、早く解決したいからな…何かあれば連絡する」


【分かった…気をつけてな…門オープン!】

 空中に黒い球体が現れるとレプリックはその黒い球体に入っていく…



 *****************************


 ピロピロピロピロピロピロ

 アラームが鳴る…


 いつも7時には鳴る様にセットしてあるスマホから鳴る…眠気眼で画面のOFFボタンを触って止める。


 居間に行くと…ん?酒臭い~普段飲まないから余計にアルコールの匂いには敏感だ。


 キッチンに行くと冥耶と那岐が朝食を食べていた。


「おはよう~」

 俺がそう言うと


「「おはよう」」

 2人も返事をする。


 冥耶は用意していたのか空いてる席の前に皿を置く…

「そろそろ起きてくると思って用意してたけどリーダー食べる?」

「ああ~すまんな…おお~ベーコンエッグサンドだ、ありがとうな冥耶…」

「ついでだし別にいいわよ~」

 俺はいただきますと言い食べ始める…


 食後…

「あれ?他の3人はどうした?」

「あ~あの3人なら二日酔いだよ」

「え?…まあダンジョン攻略は明日だしゆっくり休めばいいか~冥耶と那岐は今日の予定は?」

「私は特に予定無し」

「俺も特に予定無いよ~兄貴は?」

「うん…スキルの検証をしようと思ってな」

「「スキルの検証?」」


「ああ…ドラゴンオーブの神様のスキル【神殿転移】【天界転移】この2つの検証をしようかと~なんせ神殿転移は何となく分るが天界転移の意味が分からないからな…」

「神殿ってドラゴンオーブのあの空中に浮かぶ神様の神殿?」

「神殿と天界って違うの?」

「それを調べるんだよ」


「俺は暇だから付き合うぜ兄貴」

「私も興味あるからリーダーに付いていくわ」


 と言う訳でスキルの検証をする事に…

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