第26話 4人で探索者パーティー活動中
ここはいつもの斑鳩ダンジョンの中…
女の子が岩陰からゆっくりと顔を出す…
黒髪のセミロングで頭のてっぺんにアホ毛が立っている。
青い隊服にマントを羽織ってホットパンツを履いた、太ももの白さが際立つ女の子…
そんな彼女の手元から
【バスターライフル(デストロイ)】
使いたいと思考しただけで、ずっしりと重たそうで彼女の身長に匹敵し、世間一般では対戦車ライフルという名に似た形の
彼女は片膝を付いてライフルのスコープを覗くと
秘匿通信で
『目標、ゴブリンの群れ…撃ちます』
トリガーに指をかけて何処が一斉にダメージを与えられるか照準の置き所を見極めながら弾く!
カチッ
ズードオゥーーーン!!!
彼女の身体を超えそうな大きさで極太いエネルギー弾がゴブリンの群れへ放たれる。
ゴブリンの何匹かは音と衝撃で気がついたようだが、その異常なエネルギーの本流をモロに受けて消失していた。
しかしそれで終わらず
【炸裂弾(デストロイ)】
彼女は今度は正六面体のこれまたいつも、華鈴や冥耶の使う炸裂弾の10倍の大きさのモノが頭上の手の平の上に出現した。
『そこー!』
更に混乱しているゴブリンの群れに叩き付けると…
ドッゴーーン!!!
≪ゴブーアワワーーー!!!!???≫
絨毯爆撃のように立方体が飛んでいきゴブリンの群れに降り注ぐ!
《ゴブ?!》
大混乱に陥っているゴブリン達に
『よしみんないくぞ!杏は固まってる所に追尾重紅弾で援護を…』
『『『了解!!!』』』
俺達は今、11階層まで潜っている。
神宮寺彰人、鈴見華鈴、冥耶・ハミルトン、杏の4人でパーティーを組んでいる。
勿論、10階層のフロアボスを倒して今は11階層で12階層に潜る許可を貰う為にゴブリンをパーティーを組んで戦っている。
まあゴブリンと一口に言っても11階層だと変化がある。
少し赤みが増し身体の大きさも2階層辺りにいるゴブリンとは違い一回り大きくなっている。
俗に言う鑑定で定められたモンスターの名前の前に、階級が付けられており下位種から無名(ノーマル)、ブロンズ、シルバー、ゴールド、ミスリルと付けられていてダンジョンの場合、11階層から一区切りとなり上位種へと上がっていく…
俺達が今相手にしているゴブリンは《ブロンズ・ゴブリン種》となる。階層が更に下がると上位職の名前が付き《ブロンズ・ゴブリンロード》とかへ変化していく。
11階層のゴブリンはただのブロンズ・ゴブリンやブロンズ・コボルドが群れで徘徊している…
華鈴はいつもの
「いくわよ!」
【炸裂弾】×2
ドカーン!ドカーン!!
混乱しているゴブリンに両手から放って直撃させると爆発して更なる混乱で収集つかなくなっている。
【ルナアックス】×2
走りながら両手から小型の斧のような形の武器が現れて複数のゴブリン達を切り裂いていく…
【追尾重紅弾(デストロイ)】
バシュー!!!
杏はさっきより小さいが同じ立方体、しかも黒い立方体が8分割に分かれて迫ってくるゴブリン達に放つと、当たった瞬間、突然身体から変な紅に染まる石みたいなものが生えてバランスを崩し倒れたり急に動きが遅くなる。
これは重紅弾と言う特殊な弾で当たると重りが生える。通常弾に特殊効果を付与し、直接的な攻撃力をなくす代わりに、着弾すると通常約100㎏相当の六角柱の錘となり敵にくっ付くことで機動力を奪う。これもサイオン量によって増えるしデストロイのスキルでより重量は増す…
冥耶は
『冥ちゃん!危ない!!』
【シールド(デストロイ)】
冥耶の前に可視のシールドが現れる
カキン!カキン!!カキン!!!
3本の矢がシールドで塞がれる!
『あり〜アン!』
杏に感謝を述べながらアサルトライフルを左手で持ちながら弓矢を持つゴブリン達を牽制する。
その牽制の間に
【追尾弾(デストロイ)】
杏は頭上に立方体を浮かばせると3匹のゴブリンをロックオンして放つ!
《ゴーブー!》
上左右から追尾弾が誘導しながら直撃して消滅していく…
『本当、アンの攻撃力エグいわ』
『それは雨鳥千花ちゃんのデストロイのせいだね〜私の力では無いよ』
膨大な量のサイオンをもつため、幼いころから異世界民に狙われてきたキャラで本来は背が低いのだが杏の場合、160㎝以下なので意外と似合っている。
ちなみにデストロイの名称は破壊力や強さがサイオン量に左右されるスキルの1つで、雨鳥千花のサイオンモンスターに付随するスキル
≪ホブゥー≫
『ちょ、大きい?!ホブゴブリン?』
華鈴は通路の角から出てきたブロンズゴブリンではないホブゴブリンに驚く…
さしずめブロンズ・ホブゴブリンと言ったところか?
【エクスド】
ガーシュン!
《ホブー!?》
華鈴の不意を突いて現れたホブゴブリンに地面から突然、壁のようなものが競り出して進行を止め、更に顎にヒットしたのか後ろに倒れる。
『華鈴、うかつだぞ!もっと周囲の地形に注意しないと…』
俺は援護の為に地面から生える盾を発動…通常はシールドなど使うが、エスクドの利点は物理的に発生するので盾としてと相手を動かししたりと嫌がらせには最適なスキルだ。
『そ、そんなの防衛本能で分かってたわよ!ちょっと大きさに驚いただけ!』
最近の華鈴はこんな感じでツン全開で俺と接するようになった。
まあ変に畏まっても困るから…まあそれだけチームとしては慣れてきたんだろうとは思う…
ちなみに【防衛本能】は小波霧依の持つスキルで俺の持つスキル【兆し】と似た性質で危機感知能力に長けてるから気づいていたと言うのは本当なんだろう。
「ちょっと大きいからって図に乗んな!!」と叫びながらアックス同士の下部を接触させると!
合体!
【ルナペアアックス】
「でやー!」
小型斧から大型の斧に変形してそのままのスピードでホブゴブリンを横一文字に切り裂く!
ドッーズーン
《ホブ!?》
そのまま切り裂かれ身体は消滅する。
流石だ、華鈴!
俺も負けてられないな!
分断されているゴブリンの群れに俺も迎撃に向かわないとな~
【凱王拳】
攻撃力、防御力、回避力、俊敏力が2倍になって、身体全体から赤いオーラを吹き出しながらゴブリンへ駆け出していく!
【縮地改】
縮地改のスキルを発動させながら、俺が赤い弾丸となって迫る。
相手も迎撃の態勢だが2m手前で急速に右方向へ旋回する
向こうも対応しようと動くが…
【スコルピオン】
その勢いのまま右脚を振り上げて足先から黄色の物質化した刃が伸びてそのまま首を蹴り切り裂く!
スコルピオンはワールドトリッカー作中で変形が自由自在で定まった形状を持たない刃(ブレード)。
体中どこからでも出現させることが可能で、とても軽く重さはほとんどない。
攻撃力もAでカタナと同等。
ただしブレードの耐久力が低いため、受け太刀には不向き。だがその特徴は身体の何処からでも出す強みで失った足の代わりに、刃を変形させて仮の義足にしたり空いた穴を塞ぎ応急措置がわりの包帯みたいに使ったりと使い手によって様々な使い方ができてある意味、センスが必要。
…!
【兆し】
違う敵が俺を狙ってるのを感じる…
【先読】
そして敵の動きを読んだ俺は右足着地と同時にそのままの勢いで身体を回転させて右腕を振り
【スコルピオン】を出現させた剣を鞭のように長く伸ばし後ろへ放つ!
そこには目測10m付近に斧を投擲しようとするゴブリンがまさに振りかぶって投げようとしていた…
スコルピオンは使用者からある程度、離れると消失するが…
鞭のように伸びた剣先が限界に達する瞬間
【スコルピオン】
剣先から更にスコルピオンが出現しさせて鞭のように撓ってゴブリンの喉元に突き刺さる…
《ゴフー》
そしてそのまま消失する…
『ダブルファング決まったわね!』
どうやら華鈴の方は片付いたみたいで俺のダブルファングが決まった瞬間を見たようだ。
『ああ、何とか使えるようになってきたよ』
ダブルファングはスキルではなくワールドトリッカー作中で、
主・副スコルピオン2本を連結して引き伸ばし、鞭のようにしならせる。射程は一般的なカタナ専用トリッカーの戦空(15m)と同等を誇る。
また、フックロープのように地形に引っ掛けることで短距離の空中移動も可能にする。
一気に伸びる射程とスコルピオンの可変性を活かした軌道の読みにくさにより、「攻撃範囲」・「鋭さ(攻撃スピード)」・「防御しにくさ」・「威力」の全てに優れた攻撃が可能な非常に強力な技。
ただし習得には高い技術力が必要であるようで、またメイン・サブトリッカーを使用してのいわゆる両攻撃(フルアタック)であるため、瞬時の防御が難しくなる難点がある。
作中ではダブルファングを使うのは影裏正人、空牙遊馬この2人のみ
自分は暫くは空牙遊馬を使ってスキルを上げてた時に散々実戦で使っててようやく
既にブライン、エルリー、空牙遊馬、鬼崎礼司はスキルレベル10に達している。
つまり今、俺のコスプレキャラは空牙遊馬ではなく新たなワールドトリッカーキャラ…
さっき使った【先読】は神仭優一のスキルなので重宝している。
『殲滅したな…11階層でのクエストはこれで充分クリアしたよな〜レプリ?』
『54タイ タオシタ カラ クリア シテイル』
どうやら30体以上いつの間にか倒していたようだな、ブロンズ・ゴブリンとコボルトだけのはずだがブロンズ・ホブゴブリンがいた事は報告だけしておこう。
『よし戻ろうか』
『だね〜』『お疲れ』『帰ろうか?』
魔石や使えそうで換金できそうなアイテムはレプリが回収してくれるのは助かるな…アイテムボックスに納めると歩いて10階層を目指す…
え?!
何で転移使わないかって?
最近は使わないようにしてなるべく転移を使えない印象を与えたい為…
まあ面倒臭い事この上ないが組織の連中が何処で見てるか分からないし…
それに…
「華鈴ちゃん!」
「冥耶様お疲れ様です♪」
「杏ちゃん〜次の杏チャンネル楽しみにしてるよ!」
ここ1ヶ月、こんな感じで3人は顔が知られて男性探索者達からアイドルみたいな扱いを受けている。
え?!俺はそんな彼女達とは離れて歩いている…
ステルスで姿を消してね。
彼女達はそんな男性達に愛想笑いを振り撒きながら10階層の転移門で帰っていく。
『レプリどうだ?』
『トクニ アヤシイ ソンザイハ カンチ デキナイ』
『了解〜戻ろう』
俺は人の気配が無いところまで戻りそのまま帰る。
【転移】豆レプリ(探索者事務所転移門)
事務所の転移門に着く頃にはステルスが消えて2階に上がる階段付近で彼女達が待っていた。
「先に上がってればいいのに…」
「リーダーがいなきゃ締まりが悪いでしょ!」
華鈴の言葉に残りの2人はうんうんと頷いていた。
「はいはい行くよ」
「「「はーい!」」」
事務所2階の事務所に入ると受付カウンターに安藤さんが笑顔で待っていた。
「お疲れ様です!デウスレイヤーズの皆さん!」
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