第25話 事件の終わりと始まり
「まあ~そんな落ち込むことは無い…相手がそれだけ混乱してるんだと私は考えるよ…だって魔眼が効かないと同時に人格破壊装置も無力化される魔法無力化ペンダントなんてもんを使わせてるんだからね…逆に組織内が相当焦ってる証拠よ…」
八賀裏さんは俺を慰めてくれるが…
「…」
それでも俺には返す言葉は無い。
確かに魔眼対策の為に魔法無効化ペンダントを用意していたのに人格破壊装置も稼働できない状態にするのはどこか抜けてるのか?
俺の転移を察知して魔法結界を張る魔道具を用意して国木田、共々封じ込めて一緒に爆発させる予定だったのか?
どの行動もチグハグな事だ…もしかすると今回の事件はその組織内で勝手に行動している部下?上役?辺りの混乱なのだろうか?
転移、魔眼を知っていても空を飛べる方法があったりまだ俺のスキルを全部把握してない証拠なのかも…
考えれば考える程、ループしている感じに俺の頭は混乱し始めていた。
「とりあえず神宮寺君の仕事は終わったしもう戻ってもいいわよ…アキラには私から言っておくから…ゆっくり家で休みなさいな…お疲れ様」
とんと俺の肩を叩いて慰めてくれた
「はい…お先に失礼します」
俺は八賀裏さんにお辞儀してから家に帰る。
【転移】豆レプリ(家)
玄関に転移してキャラも解除して居間に向かう。
「「「おかえりなさい」」」
3人は俺を見ると声をかけてくれた…
「ただいま…こちらはどうだった?」
落ち込みそうになりながら声を上げながらそっちの状況を聞く
「こっちは平和そのものでした」
「今、ニュースやってるけどビルが爆発したって、もしかしてここだったの?」
「何にしても無事でよかった」
杏さん、華鈴、冥耶はそれぞれ声をかけてくれた…
「すまん、ちょっとシャワー浴びてくるから待ってて…」
俺は少し3人の顔を見たらホッとしたのと同時に自分の失敗を告げるには少し辛かったから慌てて風呂場に行く。
…
…
…
そしてシャワーから戻った俺は頭が冷えて冷静に話せる状態になってから、彼女たちに今回の事件の顛末を教える…
「自分のスキルの能力を過信してたよ、転移や魔眼の力が無敵な訳ないのにな…そして組織の力を過小評価していた…そして死傷者をだしたのは、俺のその力を無敵と勘違いした驕りだった…」
俺はダンジョンに入って力を得て調子に乗っていた…
そう告白してその場の3人は俺と同じように俯いていた。
…
…
「カムイさん!」
「え?あ、はい!!!?」
しかし杏さんが突然大きい声でこれまで見た事の無い真剣な顔で…
「カムイさんは悪くありません!悪いのはその悪い組織です!!…そして許せません!!!みんな、ただ幸せに楽しく生きていたいだけなのに~カムイさんは、これで良いんですか?私は悔しいです。」
「そ、そりゃ…俺も…悔しいよ…」
これまで見たことの無い杏さんの訴えに動揺する。
「だったらそんな組織…ブッ潰しましょう!!!!」
杏さんはこれまで見た事の無い真剣で怒ってるのか初めて見せる顔で叫んでいた。
「そうだよ!せっかくこんな凄い力を手に入れて、そんな悪い奴らに怯えて暮らすなんて私は真っ平御免よ!!どうせ一度は諦めた人生だもん…杏ちゃんに私も乗るわ!!」
華鈴は拳を握りながら杏さんに賛同する。
「そうね~こんなところで落ち込んだって仕方がない…彰人は神様じゃないもの…落ち込むのはこれで終わりよ…どんどん強くなって奴らをやっつけようよ!せっかくヒーローみたいな力を手に入れてこのまま終われないわ!」
杏さん、華鈴、冥耶の顔は真剣にしかし悔しそうな不思議な顔になっていた。
そして俺もだんだんと悔しさと怒りが腹の底から湧き上がってきた。
「…そうだな…やろう…もっと強くなろう…折角手に入れた力だ…とことんやってやる」
こうして俺達はこのスキルを活用する事に決めた…
それから菅生さんからメールが届いた。
スマホで確認すると今回の事件の顛末が書かれていた。
デウス(仮)ビル内で爆発物で爆発炎上した。
現場検証により分かった事は魔道具によって魔法効果を検知すると結界が発動と同時に爆発装置のスイッチが起動し5分後に起爆するようにセットしてあったらしい
軽傷者 15名(警察関係)
重傷者 05名(同上、ビル内1名)
死亡者 10名(警察関係3名、ビル内7名)
菅生さん達は後方で指示していた為、怪我はないが…
犯罪刑務執行官は2名重傷、3名殉職
警察関係者が1名重傷で軽傷15人で済んだのはベテランの罪執官が盾になって最後まで身体を張っていたかららしい…
「菅生さん、お疲れ様です」
俺は菅生さんにお辞儀しながら挨拶する。
「神宮寺君…お疲れ様…ありがとうね、来てくれたんだね」
警察葬の告別式に俺は来ていた…
「菅生さん、俺が失敗して本当すいませんでした。」
今度は謝罪の為に頭を下げたが…
「神宮寺君のせいではないわ…まさか爆弾を用意して待ち構えていたなんて誰も想像できないし、それを予測しないで部隊を動かしたのは私よ…」
「…」
お互い、長い沈黙の後…
「菅生さんに頼みがありまして…」
「頼み?」
「今回の事件で、俺はあの組織にこの受けた借りを返さなければいけなくなりました…確かに亡くなった方達とは直接、交流も無いし縁も無いですが…しかし許せない気持ちが宿ってしまいました…だから今後もどうか協力させてください」
「それはこちらも助かる…分かったわ~今後もよろしくね」
「はい…ではこれで失礼します」
俺は菅生さんに挨拶すると帰宅の途についた…
そう、ここからデウスを叩き潰す決意と共に、仲間達と強くなる事を決めた日となった
この事件は終わり…
始まりとなった…
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