第23話 m粒子とD-SEED
次の日、杏さん達は俺の家で待機して自分が帰るまで警戒している。
俺の家も知られてる可能性はあるし…豆レプリックズ(レプリの分身10体)を残して3人の警護をしている。
レプリ本体自体は俺の影に隠れて待機中…
豆レプを国木田アレク(組織の構成員)の荷物に忍ばせて探っていたところ、あるビルの事務所に出入りしていることが判明したので菅生さんに連絡して…今、そのビルの近くに待機している。
数時間前
菅生さんとの面会時にレプリックの分身が撮影した動画を見せた後…
「ふーう…神宮寺君、凄い情報持ってきたわね」
菅生さんは動画を見て興奮してるのか今迄見せた事の無い顔をしている。
「それよりこの動画ってどうやって撮ったの?それが一番不思議なんだけど…」
八賀裏さんは興奮を隠せないようでこの動画の出所を知りたいようだが…
「駄目よ!神宮寺君と約束してるんだからね~この動画の事は証拠として貰う代わりに追求しないって!」
その動画にはこれまで公安が追っていた組織の片鱗が現れていた。
まず国木田アレクと上司と思われる人物の顔が映し出されていた
会話の内容も別の動画も撮れていて俺のスキルの話で特に銃火器に興味があるようだ。
モンスターに効く銃火器は探索者相手にも有効だと言う事だ…犯罪者の考えそうなことだな。
そして上司は名前をはっきりと言った。
組織の名は「デウス(Deus)」ラテン語で神を意味する言葉…
非常に単純、しかし分り難い言葉ではある。
そしてこれまでの過去の犯罪履歴にデウス、Deusの名前は無い…
「多分、彼らの組織は探索者に限らず様々な人の持つスキルを収集して活用している…でも組織としてはまだ比較的に新しいようね~ダンジョンの誕生から20年程度、スキルを手術によって移植できるようになってまだ10年にも満たないから…」
「え?スキルって手術で移植できるんですか?」
八賀裏は「ああ」と嘆いている
「あ…まあいいか~ここまで深入りしているし情報提供者には知らせておいた方が後々便利だしね…」
菅生さんがニヤリと悪い顔になって微笑む
「え?!」
ヤバいかも…
「実はこのスキル移植は表には出てない情報よ…まあその由来がね…某国での人体実験で発見されて以後、その技術者が亡命したりして広まったのよ~まあ人権とか関係ない国だからできる事よね」
「…」
「つまりスキルでもレアスキル持ちの人はより危険なのよね~日本でも最初の頃はスキルを探索者協会とかは公表していたのだけど…スキル持ちの誘拐が発生以後、スキルの公表は任意で隠蔽できるようになったのよ。でもそれが探索者だけなら守り様があるのだけど探索者、スキル保持者の家族、身内もスキルを発生させる可能性が高いらしくてね」
「え?家族?身内ですか?…」
「神宮寺君…君はm粒子って知ってるよね?」
「ええ勿論…」
「でももう一つの粒子の話、聞いたことある?」
「もう一つの粒子?」
「それがD-SEEDよ」
「あ~そういえば探索者専用SNSで話題になってましたね…まあ特に興味無かったから名前ぐらいしか覚えてないです」
「このD-SEEDは一般に知られている能力ってまだ研究中としていて詳しく説明してないのよ…でも分かってるのよ。これを公表して混乱が起こる可能性があるからね~
「え?!ダンジョンを作り出す…」
「新宿ダンジョンが1999年に発生してその後、日本中にダンジョンが発生し始めて1年もかからずに世界中に広まった原因はこの種なのよ」
「…凄い種なんですね…まさか探索者やダンジョンに潜った人間が広めていたなんて…」
「そうね~ダンジョン内には、このm粒子とD-SEEDが漂っているのよ…だから人間がダンジョンに入ってこの二つの粒子に曝されるとm粒子は身体向上とスキル発生…そしてD-SEEDがダンジョンを生み出し、人には職業スキルの発現を促すのよ。」
「…」
俺は圧倒されて聞き入っていた。
「あとD-SEED保持者たち…つまり探索者が家族や親しく接する身内にこのD-SEEDが移るのよ~ある意味、ウィルスみたいなものよ…だから実は感染した人はm粒子に曝されない限り、職業スキルが発現していても身体の中で眠っているのよ。
まあこれも最近分かった事だけど職業スキルって感染した人の願望やしたい事、夢中になってる事が関係していてその思いが強ければ強いほど強力になるのよ。
ちなみにm粒子は比較的大きい物質だったからすぐ発見できたけどD-SEEDは更に小さい粒子でこれの発見が遅れたのもm粒子に隠れていたから余計に発見が遅れたのよね」
「へえ……ん…」
…
…
あれ?
って事は俺ってもしかしてD-SEEDを感染してたから、既に職業スキル発現していてダンジョンに潜ったから…つまりm粒子に触れたから職業コスプレイヤーって謎のスキルに覚醒したのか?
でも俺の周りにはダンジョンに関わりのある人って誰もいないよな…
誰だ?ダンジョンの種を持ってた人は…カオルさん?まさか師匠?
でも師匠からダンジョンの話なんて聞いたことないけどな…
「とにかくここへ踏み込みましょう!八賀裏は部隊の準備を!!私は上に掛け合うは…神宮寺君はここで待っててね」
「了解」「はい」
そして今、その国木田アレクが潜んでるビルの近くで待機している訳…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます