第22話 杏チャンネルへ忍び寄る影

「どうしようかカムイさん」

「ん〜どうした方が良いかな…一時的に動画を非公開にすると余計怪しいと思われるかな?」


 話は杏さんから次の日の昼に相談を受けて…


 杏さんは神宮寺家にて、この前の集まりを終えて帰宅後、杏チャンネルの定期生放送での一幕…


 いつもの様に番組をスタートしてオンラインゲームで遊びながらコメントが流れる中、それは起きた。


 初めて見るIDネームで視聴者からコメントがあった

『杏ちゃんって斑鳩ダンジョンでコスプレして戦ってるんですか?』

 と突然の書き込み。


 一応この前の、シンフォニアのコスプレしてダンジョンで戦う動画はまだ編集が終わっていない(女性のセクシャルな部分が動画削除される要因の為、動画の処理中…)

 そしてまだ探索者になった事は公表してない〜

 シンフォニア動画をアップした時に同時に発表する予定だったらしい


 コスプレしてダンジョンで戦う動画はコスプレイヤーカムイ(つまり俺)のブラインの動画しかアップしてない為、杏さんもコスプレしてるのか視聴者は質問したのだろうか?


 それとも例の組織が関わってるのか?


 その為、杏さんは一瞬動揺してしまい生放送中のパーティーオンラインゲームでミスしてしまいゲームオーバーになってしまったのも、余計にその視聴者のコメントに動揺した疑いを持たれたようである。


 一応、カメラマンとして撮影はしてるけど探索者にはなってないと否定してとりあえず生放送は終了。


 しかしその後、SNSの書き込みの際に全く関係ないのに同じ質問をされ、だんだん怖くなり俺に相談したというのが今の状況


「流石にレプリでもネットの書き込み相手まで探ることってできないかな?」


「イヤ シラベル コト ハ カノウ」

 そういうとレプリは俺のノート型パソコンに自分の触覚をUSBに差し込み調べ始めた。


 数分するとレプリは

「レイ ノ ビル カラノ タドリ ツイタ」


「例のビルって?」

 杏さんは気が気ではないのか気になるご様子…


「ああ〜そこに辿り着くか…杏さん、例のビルってのは豆レプを貼り付けた国木田ってヤツが出入りするビルだ」

 さてこの程度では公安に相談するにはまだ情報が足りな過ぎるな…


「レプリ…豆レプから何か良い情報は届いて無いかな?」

「スコシ マッテテ クレ」

 レプリは空中で静止した状態で何やら豆レプと情報を共有し始めた。


「コレ ハ アサガタ ニ トレタ ドウガ ダ」

 そう言うと口を開いて画像を大きくして表示する。


「この男…国木田ともう1人…組織の上役か?」

 豆レプが影に紛れて撮影したようだ。


 動画では

『……引き続き探れ…この神宮寺と立花って女も…コスプレしながらなんてイかれた連中だがそれぐらいの方が良いスキル持ってるかもな〜』

『女の方は家の所在が割れてますから拉致して聞き出しますか?』

『馬鹿野郎!そういう判断は俺が言うまでするな…』

『分かりました!』

『あと例のモノはいつも身に付けているよな?』

『勿論です…腕に巻き付けて仕込んでますのでいざとなったら使いますので…』

『ああ…それならいい…我がデウスの為だ、忠義を尽くせよ』

『はい!』



「イジョウ ダ」

杏さんは固まっていた…拉致なんて言われたら、そりゃあ怖いだろう。

「この動画を公安に渡そう…レプリはこれをこのメモリに入れておいてくれ…あと杏さん…」

「は、はい」

「どうする?連中、杏さんの家を知ってるみたいだが…」

「…」

 杏さん…震えてるな


 よし!

「なんならここで暫く暮らすかい?」

「へ?!」

 驚きと顔真っ赤になって俺を見る。


「いや!勿論、華鈴や冥耶も呼んで皆んなでほとぼりが覚めるまでって意味だけど…それともホテルか公安に保護してもらう?」

 俺もしどろもどろになりながらも説明する。


「…いえ…ここで皆んなで暮らしたいです!」

「よし杏さんは親に連絡して許可を取ってもらって、華鈴達には俺が連絡するよ」


「うん、ありがとうカムイさん」


 連絡すると華鈴達の行動は早かった。



「お邪魔するね」「よろしく」

華鈴たちは大きなバックやカートを持って玄関で挨拶する。


「早かったな2人とも」

「まあね〜みんなと一緒なんて合宿みたいで楽しそうだしコスプレ衣装や道具も相談したかったし〜」


 冥耶は靴を脱ぎながら…

「そうそう〜杏ちゃんは大丈夫なの?」


「ああ、今、車で家に荷物取りに行ってるよ〜レプリが一緒だから大丈夫だよ」


「許可貰ったんだ…良かった」

 華鈴たちはホッとした顔で喜んでいる。


「部屋は2階に2つ余りあるから好きなの使ってくれ和室と洋室あるから」


「しかしこんな家に1人ってご両親は?」

「うちの親は今、外国でのんびり暮らしてるよ」

「え?海外なの?」


「早期リタイア組って言うか夫婦でのんびりしたいてね~一応、俺が高校卒業まではいたんだけどね…大学進学する春には荷物持ってさっさと行ったよ」


「へ~兄弟とかいないの?」

「ああ~俺は一人っ子でな…」


「ってか~彰人―この段ボールの山って何?」

 冥耶が不思議そうに尋ねてくる。

 居間に大量の段ボールが重なって置いてある。


「それは今度やろうとしてるコスプレ衣装だよ~買ったはいいが最近色々あったしなまだ手付かずなままだよ」


「どんなの?」

 と言いながら勝手に段ボールを開け始める華鈴

 呆れながらも興味津々の冥耶

「Feizシリーズのヤツとドラクエ、Wizとか色々あるよ~ダンジョンで臨時収入入ってるから大量に買い過ぎたわ」

「あ!これ槍の英霊スピアに弓の英霊ボウ、剣の英霊ソード、アサシン?色々あるね~」

 冥耶の目の色が変わる。


「随分と詳しいじゃん」

「兄が好きでゲームも借りて遊んでるからね~」

「Faizシリーズって色々あるのね~ってかやたらと女の子の露出が激しくない?」

 華鈴はスマホ弄りながら俺に見せつけてくる。


「それはスマホゲーのヤツだな~この辺のシリーズになると有名イラストレーターや漫画家の人が書いてるの多いからな…ガチャ回させる為には女の子で露出が多いのは当たり前だしな…流石にその辺は追ってない。金がいくらあっても足りないし…」


「ねえねえ~冥耶、これなんか良くない?」

「え~それ露出ヤバイよ~」


 今宵は眠れない夜になりそうだな(オタク的な意味で)

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