第4話 最強秘剣【神雷】 そして…
1階層にいるレベルでは無いモンスターのはずだが…
考えても仕方がない。
「杏さん…もし危ないと思ったら逃げてね…頼む…」
「…うん、分かって…るよ」
杏さんの言葉を聞き、俺は再び鞘を握りながら近付く…
特に構える事なく自然体でゆっくりと…
【円展開】を張りながら…
≪ホブッー!?ゴワー!≫
俺の存在に気が付いたホブゴブリンも、また躊躇う素振りも見せずに突進してくる。
ドッドッドー!!
コボルドに比べて大きな身体をユサユサと揺らしながら…
そして今、結界に入ったホブゴブリンに向かって発動する!
剣技【雷火4連】!!!!
一撃を振るう刹那に、敵に四度の斬撃を叩き込む神速の剣技。
その全ての攻撃がホブゴブリンに叩き込まれる!!
≪グオワァァー≫
雄叫びを上げながらデカい身体はまるで無かったかの様に消えてコボルドの落とす石より大きな石となって地面に落ちていく…
最強秘剣【神雷】
絶対必中の【円展開】と神速の一刀【雷光閃】を併用し、さらに【雷火4連】を放つ技。絶対命中にして超高速の同時四連斬撃。
元々、ブラインは雷火4連は使えたがライバルであるガゼルの編み出した技という事で封印していた剣技…
しかし全てのしがらみを拭ったブラインが生まれ変わって編み出した最強秘剣となる。
少し大きい魔石を拾いながら…
「今日はこれで終わりますか…写真も動画も充分ですよね?」
「はい!沢山撮れたからホクホクですよ〜カムイさんも、初めてで疲れましたか?」
「いや…まだいけそうだけどね。だけどステータスが気になってね…何でブラインの剣技が使えるのか気になってね。」
「確かに…では戻りますか!」
その後、モンスターに接敵する事なく出口に付き事務所へ赴く…
2階に上がり事務所に入ると
「あ〜お疲れ様です!初めてのダンジョンは如何でしたか?」
「はい、色々良い勉強させていただきました…それでそのステータスを確認したいんですが…」
「それならそこのフリーデスクに設置してあるパソコンの読み取り機にカードを載せて、データを吸い取ればステータスの確認ができます。」
「ありがとうございます。」
2人で座ってパソコンの前でステータスの確認をしてみる事に…
とりあえずステータスでもスキル系が気になるので他は後で確認するとして、スキルを見る。
「やはりか…」
神宮寺彰人
ステータス
職業: コスプレイヤー Lv05
生命力:117
精神力:68
攻撃力:72
回避力:83
筋力 :38〈Lv5+キャラ1+SLv6〉
器用 :34〈5+1+6〉
敏捷 :45〈5+1+6〉
知力 :27〈5+1+6〉
魔力 :41〈5+1+6〉
ブライン・アーグウルス〈キャラ使用中〉
生命力 110/117
精神力 15/68
武器 日本刀(無銘)…攻撃+80(Lv5+SLv15+Lv09+攻72):攻撃力:187
防具 無し …防御±00(Lv5+SLv15+Lv09) :防御力:029
…回避±00(Lv5+SLv15+Lv09+回83) :回避力:112
スキル
戦闘スキル
・夢双一刀流刀術 Lv09
・夢双一刀流槍術 Lv07
・夢双一刀流拳術 Lv03
コスプレイヤースキル
キャラインストール〈ギフト〉(1)
・ダークロード
ブライン・アーグウルス〈集中力〉
クリエイト(回数6回)
・ブライン(未)〈刀、鎖着、首飾、指輪、鞄〉
キャラクタースキル
・アーグウルス 我流刀術 Lv06
兆し(危機感知)、円展開(派生)、雷火、身体向上、雷光閃(轟雷)、雷火4連(神雷)
やはりアーグウルス我流刀術が入っていた…
なるほど自分の取得した技術もそのまま利用できるのか…
刀は9レベル…10レベルでないのは免許皆伝が貰えなかったからか?
槍が7レベルか…以外と高いか〜
元々門下生が槍を教わりたくて無理矢理、師匠に付き合わされたからね。
そして拳術はレベル3…組打ち技、無手での稽古は偶にしかやらんかったからな。
しかしそれよりも…だ…何だよ?
この職業コスプレイヤーって?
コスプレイヤーは遊びであって職業じゃないしな…
俺はマウスで、職業コスプレイヤーをクリックするが~
【error】と画面に表示される。
ん?error?
スキルが表示されない?
気になって他の刀術辺りのスキルをクリックすると、普通に剣技は表示されて詳しい詳細が表示される。
「これは…errorが表示って、スキルがまだ見つかってないんでしょうか?カムイさん!」
「かもしれないな…すいません!エラーが出てるんですが…」
俺は事務員さんに声をかけてそれを聞きつけた先程の事務員さんがやってきた。
症状を説明すると
「あれ?本当ですね〜もしかしてレアスキルですかね…少しお待ちくださいね」
そう言うと事務員さんは何やら偉い人ぽい方に話をして
「お待たせしました!こちらの会議室へどうぞ」
と言って俺達を案内してくれた。
安藤さんと言う事務員さんはそこの椅子に座ってて下さいと指示して、彼女は機器を集めて俺達の所へ運んでくる。
そして機器を立ち上げると
「すいませんが、そちらの丸い物体に手を置いて下さい」
まあ特に危険はないだろうから普通に指示通り手を置くと…
「ああやっぱり!まだ未登録スキルですね…しかしコスプレイヤーって仮装するアノコスプレの事ですよね?」
と至極真っ当な答えを語りかけてくる。
曖昧に答えるしか無いがその通りだしな…
「ですかね?」
「表示されました〜ご確認をお願いします」
ノートパソコンを渡されてとりあえずコスプレイヤーをクリックすると…
〔コスプレイヤーとは…好きなキャラクターの格好をする事で、キャラクタースキル(技、道具)が使えてより本物に近付く事を目指す職業〕
…???
何だこの頭の悪い設定は?
いや!
確かに頭が悪そうに見える設定だがこれで実際にスキルが使えるなら…
悪くない?!
スキル【キャラインストール】をクリックすると…
コスプレしたキャラクターをインストールして何時でも着替えられます。
うん…次!
【クリエイト】
コスプレしたキャラクター固有の道具や武具を作成できるスキル
取得したスキルならいつでも製作可能
つまりこれはコスプレしたキャラクターで経験を積んでスキルを獲得し、技としてのスキルとそのキャラ固有の道具や武具を製作できる。
結構ヤバくない?
アーグウルス我流刀術がレベル6だと作れるのは…
【刀、鎖着、首飾、指輪、鞄】かな〜
刀は魔法特性が無いけど魔法剣並みの切れ味を持つ名刀、護神刀。
首飾は任意で発動させ、発動中は盲目耐性・暗視・光量補正等々。目に関する効果を防ぐ力を持つ。
魔法の指輪は任意の魔法を入れておく事ができる。
鞄は…
ポーション、解毒薬、攻撃力増加ポーション、回避力増加ポーションが入った薬鞄
それぞれ陶器の中にあるポーションは一回使うと24時間、経たないと補給されない…補給?…え?自動的に…
(薬鞄、何か頭痛くなってきたな…これ他の作品のコスプレでスキルレベル上げたら…)
「あのカムイさん…大丈夫ですか?」
杏さんは俺の顔を覗き込む様に心配してくれてる。
「は!あ,すいません大丈夫です。ちょっと考えて事をしてしまって…あ、あの安藤さん」
「はい!何でしょうか?」
「そのスキルの全容って協会に伝えないといけないのでしょうか?」
「そうですね〜面倒事に巻き込まれたく無い方や目立ちたく無い方もいますし、取得者非公開とかはよくあります。」
「じゃあその非公開で頼めますか?」
「分かりました〜それで神宮寺さん、立花さんは仮登録から正式登録へ変更とできますがどうなされますか?」
「立花さん?」
ふと隣を見ると杏さんは、はい私ですと手を上げていた。
「ごめんね杏さん…」
「まあ別に隠していた訳でもありませんし…」
オタクあるあるなのだがお互いに本名を知らないで、何年も友人付き合いがあるのは良くある事…
中には敢えて隠してる人もいるので難しい問題ではある。
まあこんなやりとりの後、俺は正式に探索者としての登録となる。
杏さんは保留との事で、今回の自分のスキルについても非公開となる。
その後は事務所を出た俺達は車での帰路となる。
「今日は杏さん、ありがとう…こんな世界があるとか初めて知れて嬉しかったよ。」
「いえいえこちらこそ楽しい撮影で良かったです!次も楽しみだな」
(次か…とりあえず帰ったら色々試してみるか!)
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