やっぱり違った

 建てられた当時にしては斬新なデザインだったんだろうガラス張りが、純和風の建物にくっついてる。でも違和感はあまりない、多分小さいころから見慣れてるからだろうけど。ガラスの奥に、焼酎やら日本酒やらが暗い店の中で行儀よく座ってる。

「げっ、まじか今日閉まってる?」

そんなはずはない、ここの定休日は火曜だ。今日は木曜だし、張り紙があるわけじゃない。

「コウ、ちょっと待って。裏口から忍び込んでくる。」

「矢間ちゃん?忍び込むのはまずいって」

「いいからいいから、ちょっと中をのぞいてくるだけ。」

ここの裏口、小さい頃に何回も忍び込んで爺さんを驚かしてたっけ。小学校高学年になってからは、何かガキっぽいって思い始めてやらなくなった。そういう年頃だったんだろう、まさかそれを中学生になってもう一回やるなんて思わなかったけど。

「確かこの植木の下に鍵が置いてあってと、あった。不用心なんだからさ。」

四年ぶりくらいだろうか、すりガラスのついた建付けの悪い扉。キィーって妙に頭に残る音を立てながら、乾いた杉材の匂いがいまだに残ってる。

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