第17話 じいさん会長の心意気
それから数週間もしないうちに
下町商店街の風景の全体が
お祭りムードへ、ガラリと様変わりしていた。
あちらこちらで
トンテンカンと大工達が
じいさん会長の指示に従い作業をしている。
生ジュース屋も、本日は一段落という感じだった。
大工達の仕事を一目見ようと、街中はたくさんの客で賑わう。
小さな赤ちゃんを抱っこした父親に母親、
兄妹姉妹で、スマホにその風景を撮影する人達。
街は、段々と活気付いてきた!
俺も、下町っ子なので、
祭りが始まる前は血が騒ぐ……。
商店街の店が、各々でサービスを考えたりと皆楽しそうだ。
じいさん会長が下町商店街に現れると、商店街の店主らは会長に
お礼を伝えていた。
『こんなにワクワクするのは
何十年ぶりだよ!会長!』
『ありがとう会長さん!!!』
『また寄ってよ!会長!!』
会長は、皆に手を振り応えている。会長の顔には、笑みがこぼれる。
そして……俺の隣に来たじいさん会長は、
『いよいよじゃな?』
と……感動していると俺はつられて話す。
『そっすね!いよいよ!』
会長は俺に
『生ジュースくれんかの?』と言った。
俺はお洒落な、じいさん会長に
ココナッツミルクベースの
生ジュースを作って差し出した。
『あいよ!会長!!』
じいさん会長は、生ジュースを1口飲むと深く深く深呼吸をした。
『あぁ、なんて幸せなんじゃ』
俺の頬には、知らないうちに涙が一筋……流れていた。
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