第13話 出会い

さて、能力もゲットしたし、悪者やっつけたし。

「しばらくはゆっくりとできるかな。」

「そうでしょうか。」

「どういうこと?」

「日本には『星の子』はいません。なのに、ただのサラリーマンが能力を持つのはおかしいではないですか?」

「つまり…日本に『星の子』がいる?」

「それが妥当でしょう。」

「他国からの侵略とか?」

「それもあるでしょう。もしくは、逃げてきた…」

「逃げてきた。」

「国と『星の子』の能力によっては、軍事的に利用される可能性もありますから。」

「なるほど。」

派閥みたいなのができてるのかもな。

「今回みたいに、パッと能力者がみつかるわけではありませんし…」

「SNSも信用されないだろうしなぁ。」

早くも行き詰まった。能力を回収するまえに能力者に会えない。

「まぁ、テレビやSNSを観察して能力の発見をしていく、が妥当だな~。」

「はい。」

「んじゃ、今日は帰るか。」

案外、現実的に解決できることがわかった。安心できる。殴り合いとかにならないのはありがたい。

トントン…

ん?肩を叩かれた。


「あーっと。コンニチハ?であってるか?」

「…誰?」

「ああ。先に名乗らなくちゃな。俺はリブラだ。」

「その、リブラさん。どうされました?道はあまり知らないんですが…」

「キミが日本の『星の子』だろ?」

コイツ、『星の子』を知ってる!どうする、攻撃されたら、なんも太刀打ちできないぞ。というか、日本には『星の子』はいないはずだから…勘違いしてるのか。え?ええと…

「いえ。近しいですが、少し違います。あなたは、どこの国の『星の子』ですか。」

「え、『星の子』じゃないのか~。うーん。感じる雰囲気はそのはずなんだけど…」

「あの…」

「ああ、俺の事ね。俺はフランス。」

「で、フランスからはるばる、なんのようですか?」

「そう。それの事についてなんだけどさ、俺の事、かくまってくんね?」

「かくまう?」

「俺、国から逃げてきたんだ。」

「はぁ?」

「まさか、ホントに逃げてくる人がいるとは思いませんでした。」

「で?助けてくれる?」

「断る理由もないし…いい?」

「はい。いいですよ。」

「じゃあ、よろしく!」

…こんなにスルッと『星の子』とともに行動することになるとは。まあ、結果オーライ、だ。

「それじゃ、ご飯買って帰るか。」



「いやー。上手いなニホンの飯は!」

「そりゃどうも。」

褒められるのはやっぱり嬉しい。やっぱり日本のご飯は美味しいんだな。

…で、だ。

「リブラさんはどうして逃げてきたんですか?」

「俺の能力を国が使おうってんで、拘束されそうになったからよぉ、それで逃げてきたんだ。」

「ひとみの考えた通りだな。」

「ひとみってソコのチビっこか。すげーなちっこいのに!」

「あ、あんまりチビチビいうと…」

うわ。怖い顔してる。

「それで、キサマの能力はなんでしょうか。」

怒ってるな。口がわるわるさんだ。

「それがな、多分ってとこまでしか理解できてねぇんだよ。」

「その多分ってとこまででいいから、教えてくれないか?」

「体感というか、力を足して2で割ってるって感じなんだよな。」

「能力の合成と分配ですかね。」

「うーん。なんか違ぇんだよな。体力とか筋力とかだと思うんだ。」

「それでしたら、身体能力の合成と分配ですか。」

「ま。そんなところだ。」

すごいな。そんなの100対0に割り振れば勝ち確の能力だ。

「それで?あんたは何て能力だ?」

「へ?いや、俺は…」

「なに?隠したって無駄だぜ。俺が『星の子』だからなのか知らねえが、能力持ってるかわかっちまう。」

そんな力が。ひとみみたいなのが備わっているのか。

「ええと、俺は『1度体験した現象を再現する』って能力なんだけど…」

「ん?なんだそりゃ。」

「見せた方が早いんじゃないですか?」

たしかに。

「ちょっと失礼して。」

「んお?」

服を触って。

力を込める。

「んお!入れ替わった!これがお前の能力か!」

「これは、能力の『一つ』です。これからもっと増やせます。」

「増やす?増やせんのか?」

「それが、相棒の能力です。」

「まあ、ひとみのお陰なんだけど。」

「わたしが、保存先です。わたしのお陰で、能力を思う存分使えるんです。」

ムフーとちょっと嬉しそうに口を緩める。

「ほあー!そりゃ、『相棒』って呼ぶわけだ!それ、俺も真似していいか?相棒!」

「…ダメ。ダメです。」

「ん?」

「『相棒』呼びは、わたしの特権ですから。」

なんかリブラの視線が…。


まあ、嬉しくないことはないぞ…俺は。




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