第6話 なんとかなった

…ん?

段々明るく

「おい、起きたか」

そうだ。ここは危ない実験室。

早く逃げないと…

「おい、答えろ。」

…え?

「ソイツはなんだ?」

「え?」

「ソイツだよ。ソイツ。となりのチビッ子。」

「そんなのどこにも…。」

…いる。いるじゃん。

「みちみにもにかいすな?」

「なんて?」

「のにのわいかいみちにみわの?」

「なにいってるかわかんないよ」

発音は日本語っぽいけど…

「な、なんでその言語が…!」

「知ってるんですか?」

「こいつ、いや、『この方』の言語は、我々が探していた、星の子の言語…」

このチビッ子が地球がいってた『相棒』か?

「らに。らもちいきち…」

「ちょっと待って!」

「みちみしち?」

買った本を取り出す。

「これで言いたい言葉。指差して。」

これなら何言ってるのか分かるだろう。

『お前が』『使命を』『与えられた』『者』『?』

「そうだよ。」

うん。ちゃんと意志疎通出来る。

「おい、お前。どうやってコイツと出会った!」

「地球と話して、ですけど…」

「はぁ。なにいってんだ!ふざけてんじゃねえぞ!」

拳を振りかぶる。また、なぐられ…

「からもちすい」

なんて?…あ。

「止まってる?」

ピタリと止まった。どうなってんだ?

「しちにまらなこなのち?」

「ちょいちょい、これ使って。あげるから。」

本を手渡す。

『大丈夫?』

「ああ、ありがとう…てか、どうやってんの?」

『これはね?』『能力』『聞いてないの?』

「そうなんだ。君に聞けって。」

あと…

「この人、なんとかできない?」

『どうして?』『危なかった』『よ?』

「いや、この人にはお世話になったこともあるから…、ダメ?」

『もう。仕方ないんだから』

「なきらのい」

「…っは?!」

なになに…?

「怖いこと、されたく、なかったら、出ていけ。他の、人も、お願いね。…だって。」

「わ、わかった。わかりました。手は出さない。出さないから。」

「くちんちのな」

「は、はいぃ!」

『一件落着』『だね!』

「ああ、そうだね。」

結局、何一つわからないまま、危機は去っていった。



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