第13話

私が目を開けるとそこには

「乃々華!よかった……目が覚めた!」

そこには冨樫がいた。でもなんで?

「乃々華!よかった心配したのよ!」

「乃々華!お前なら乗り越えられると思ったよ……!」

「お母さん……お父さん……」

そこには両親の姿もあった。私は2人を見て思わず泣いて

「今までごめんなさい!私2人にずっとひどいことしてた!!」

と抱きつきながら赤子のように泣いた。すると2人は私をギュッと抱きしめてくれて

「大丈夫よ。誰だってそんなことはあるから。」

「仕事ばっかに集中しててごめんな。今回のことで親父に怒られたよ。」

私はお父さんの言葉に驚きを持った。

「夢のなかで見たんだ。乃々華を放置にするな!仕事で養うより、愛情で養え!そして今はなにがなんでも乃々華のそばにいろ!って。」

「お、おじいちゃん……!」

私はまた泣いてしまい2人は慰める。

「あ!おばあちゃんは!?」

と私は聞くと2人はくらい顔をして

「おばあちゃんは1週間前に亡くなった。」

「乃々華は2週間くらい意識がなかったの。」

私のほうが重傷だと思っていたのに……また助けられなかった……おばあちゃんも……おじいちゃんの友達も……おじいちゃんも……私は失ってばかりだ。すると冨樫が私の顔に両手を挟み

「お前はよく頑張った。それにお前は命懸けでおばあちゃんを守った。あの瞬時の判断ができたのはすごかったんだぞ。」

「だけどおばあちゃんが私のせいで亡くなったのは変わらない!」

すると冨樫は私を抱きしめ

「乃々華。お前はいつも悔しくて苦しい日々を送ってきたんだろ?その気持ちを今度はいい方向に持っていく力にしておばあちゃんの分も生きてやれよ!迷って悩んだっていいんだよ!そしたら俺んとこにこい。涙が出る前にな。俺は暗がりでもお前を見つけてやるから。」

と冨樫は私の手を受け皿のようにし、勿忘草の花をポトんと渡す。

「これ……!」

「お前……のこと見てるといつもこの花にそっくりだなって思ってた。」













あそこで見た勿忘草は冨樫の花だったんだ……










あの陽だまりも……













「ありがとう。冨樫。」

私はニコッと笑った。

「乃々華これ。おばあちゃんの遺書なんだけど乃々華宛なのよ。」

私は手紙を開いた













乃々華へ

これを読んでいるということはきっと私はもうこの世にはいないでしょう。乃々華はいつも私のことを助けてくれた存在なのよ?だから自分を責めないでね。ねぇ?実はね戦争中のときあなたに会ったことがあるような気がするの。あなたは突如私と私の姉の元へ現れて、虫を食べさせたりしたの。あのときはとても驚いたけど美味しかったのは間違いないわ。あなたは追いかけっこが得意で町中を走り回ってたような気がするの。それと大貴さんと勿忘草畑にいたって大貴さんから聞いたの。だから大貴さんからね、こう言われたの。俺たちの孫は可愛くて健気だー!って。孫バカにも程があるわって最初笑ったの。だけど大貴さんはあなたのことをね、よくできた子だけどよくできる子ほど悩みやすいし、なにかを抱える。だからおばあちゃんは乃々華がどんなに辛い時でも一緒にいてあげること。って言われたの。大貴さんは戦時中で亡くなってしまったけど生き延びた私にはできるだろうって夢の中で言ったの。だけどね、大貴さんに言われたからそばにいたんじゃなくて、心からこの子のそばにいてあげたいって思ったの。乃々華はよく笑うし、よく泣くし、よくペン回しで障子を破るし、大変な子だったけど乃々華が孫でよかったって私は思うの。

おじいちゃんから贈る夢は平和な世界を。

私から贈る夢は愛情を。

そしておばあちゃんとおじいちゃんから乃々華へ最後のお願いです。

















今度は乃々華が誰かのそばにいて、その人と明るくて平和な未来を造ってね。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る