第10話
次の日私とおじいちゃんは最初にいた町に戻ろうとしていた。町を歩いていると
「あの兵隊さん非国民を連れてるわ……」
「きっと懲らしめてくれるのよ!」
「あんな人なんか排除したほうがよろしくて!」
と相変わらず私の悪口は絶えない。だけどおじいちゃんは私に
「見た目がどうであれ、良い奴には変わりはねぇんだよ。だから気にすんな。」
と私のほうを見て優しい目でこちらを見た。私はあの日からおじいちゃんにドキドキしてしまっている。おじいちゃんの仕草がとても男らしいし、それに手なんか恋人繋ぎしてくるし……!私はいつも拒否すると
「だめなのか?」
と子犬のようなうるうるな目で私を見るのでそれに私は負けて手を繋ぐ。
やっと最初にいた町に戻れたが、周りは前よりひどく焼けている。私とおじいちゃんはおばあちゃんとおじいちゃんの友達を必死に探す。
「美晴さーん!林さーん!沖田さーん!神楽さーん!いたら返事してくださーい!」
「美晴ー!涼介ー!健人ー!琉ー!どこだー!?」
またおばあちゃんを失ったら……私は怖くてたまらなかった。
しばらくすると
「大貴さん?」
とおばあちゃんの姿があった。そして
「八乙女……」
「久しぶりだね。」
おばあちゃんは俯き、八乙女はおばあちゃんの腰に手を回した。
「婚約が成立したんだ。だから乃々華ちゃんもこっちにおいでよ。」
私は絶句してしまった。まさか私がいない間にこんなことになってしまっていたなんて……私が過去を変えてしまった……?
「美晴!!俺のこと愛してるって……俺が戦争で必ず帰ってから……結婚しようって……言ったじゃないか……?」
おじいちゃんは私の手を強く握る。声も震えて泣き出しそうになっている。だけどおばあちゃんは私が未来から来たことを知らないから
「大貴さん……だって乃々華ちゃんのこと好きになったんでしょ……?お似合いよ……」
「じゃあいこうか美晴。」
「はい……」
「……」
「美晴さん!!大貴さんこのままでいいの!?」
「……」
おじいちゃんはその場で固まってしまい、おばあちゃんが私にあるメモを渡すとあっという間に2人の姿が見えなくなってしまった。
どうしよう私のせいだ……
私がこの時代からきたばかりに……
「……お……い……助けろ……」
「お、林さん!?ちょっとまってください!おじいちゃん、林さんのこと助けよ!」
「……あ、わ、わかった。」
林さんは頭から血が流れていて足は針が無数に刺さっている。それに瓦礫の下敷きになっていて2人で瓦礫をどかすと林さんは
「おい、大貴……美晴さんは……」
「……もうアイツなんてどうでもいい……アイツはもう俺の女じゃない……!」
おじいちゃんになんて声をかけてあげればいいか分からない。おじいちゃんは泣きながら林さんの血をふく。
「最後まで聞け……」
「嫌だ……それに涼介喋るな。今手当てしやるから。」
「いいや、俺はもう……助からない……だから最後に……言わせてくれ……」
「なんだ……?」
「美晴さんは……お前の子を……身ごもっている……お前の子を守るためだけに……八乙女の……婚約に……のったそうだ……」
といい林さんは息を引き取った。
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