第9話
「……か……の……か……乃々華!」
「!お、おじいちゃん……」
「おじいちゃんいうな!大貴だ!よかった目が覚めて。」
「……」
私はいつの間にか寝てしまっていたらしく目が覚めるとおじいちゃんのイケメンな顔がドアップだった。さすがの私もドキドキしてしまった。
「お、じゃなかった、大貴さんはどうしてここがわかったの?」
「お前を追ってきた。にしても足はえなぁ。そこは俺に似たのかな。」
私の足についてこれる人なんかほとんどいなかった。だからおじいちゃんをすごいと思った。
「よし、帰るぞ。」
「やだ……」
私はおじいちゃんの服の裾を引っ張った。おじいちゃんは振り返って私の顔を覗きこみ、
「お前……泣いてるじゃねぇか……よしよし」
と私の涙を手で拭ってくれて頭を撫でてくれた。私は初めて男の人に触られたのでドキドキしてしまった。そしておじいちゃんは私を抱きしめ
「大丈夫。さっきはお前の言うとおりだよ。この世の中は捨てていい命は1つもねぇよ。天皇に命を捧げろーって言われても俺正直会ったこともねぇような人に捧げたくねぇし。それが例え神様だってな……俺は自分の手で、近くで美晴を守って幸せにしてやりたい。だけど美晴はお前を大事に思ってるし、俺だってさっき出会ったばっかの未来の孫?のお前を守ってやりたいって思うよ。」
「……私はどんな私でも人に受け止めてほしかった。私、頭いいし、運動もできるからさ幸せになるための1番いい方法を人に教えてもそれって私たちできなくない?って言われて笑われて、結局できる人を羨ましいって言ってばかりか、相手が激怒して次の日もう友達でなくなる……」
「……そんなやつ友達でもなんもねぇな。俺の未来の孫はそんな中一人ぼっちで頑張ってきたのか……」
「……」
「よく頑張ったな。それに俺に会いに来てくれてありがとう。」
その一言で私は大号泣してしまった。
ずっと誰かに分かってほしかった
ずっと誰かに愛されたかった
すっかり日が暮れて2人で勿忘草畑に寝転ぶ
「美晴にそっくりな俺の未来の孫だから守ってやんねぇーとな」
おじいちゃん……お願い
おばあちゃんを見るんじゃなくて私をちゃんと見て
おばあちゃんから見た私じゃない
私をちゃんと見て
夕日に照らされたおじいちゃんは私のドロドロした気持ちを知らず少し日焼けした肌から似つかない白い歯を見せて笑った。
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