第5話 円卓の騎士団2
だがここに至り、反対側に座る中性的な長い金髪の騎士は、他と違う意見を述べた。
「ちょっと待て。この二人は、何も好きで騎士の円卓に登った訳ではあるまい。
幻想世界のファンタジックな雰囲気を醸し出す美男子に、思わずカヤタニは頬を赤らめてニッコリ頷いた。ただ、『えらい耳がとんがってる人やなあ』と思ったのは秘密だ。
最後に実力者であろう、男らしく頼もしい体つきの騎士が座ったまま一喝した。
「皆、冷静になって欲しい!
彼は魔法少女の方に向かい、少年のような表情で茶目っ気たっぷりに軽くウインクした。
「何よ、もう! アスカロンったら! 私の魔法が駄目だったって言いたい訳? ちょっと許せないわ! 皆の前で天才魔法美少女に恥をかかせるつもりなの?! だったら、もう知らない!」
アビシャグと呼ばれる魔法使いはプンスカすると、両頬を風船のように膨らませた。彼女がメガネのズレを直すのと同時に、ハゲの偉そうな騎士が、『ああ~』と頭を抱えて卓上に突っ伏した。
ついにダケヤマの方が我慢ならなくなって、恐る恐る話が分かりそうな騎士に訊いてみた。
「あのう……、お取り込み中スミマセンが……。俺達はこれからどうしたらいいんでしょうか?」
卓上で膝をガクガクさせるダケヤマに、若い騎士は微笑みながらも、ハッキリとした口調で語りかけるのだ。
「失礼をしたのは、むしろこちらの方だ。許して欲しい、日本からの客人よ。私の名はアスカロン。ここシンニフォン王国において、円卓の七騎士のメンバーに数えられる一人だ」
「はあ、そうですか……。円卓の騎士のアスカロン殿ですか……」
ダケヤマは今だ、劇的な展開に頭がついて行けないのか半信半疑のまま、役者に接するような態度で騎士に相対している。
ロマンチストのダケヤマに対し、背中合わせのカヤタニは究極のリアリスト。だが意外にも状況を急速に理解し、順次適応しながら次々と判断を下してゆくのだ。
「わっ私は、お笑いコンビ『スカンピン』のカヤタニです。こっちは相方のダケヤマです。今日はお呼びいただきまして、どうもありがとうございます……」
カヤタニは、のっぽのダケヤマの頭を掴んで無理矢理に頭を下げさせた。
少しは落ち着いてきたが、卓上でお辞儀する二人に対して、周囲から冷酷な視線を浴びせられる状況に大きく変わりはない。
さて、これからどうなるのやら。
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