第七話
【第七話】
気づいた人もいるかもしれないが、これまで散々、リリースから約一か月経ったと言ってきた。
『約』一か月だ。正式には、まだ一か月経っていなかったのだ。
そして今日、遂にリリースから一か月を迎える。
OSOの運営が一か月記念にイベントを開始すると公言していたので、ゲーム内は異常な熱気に包まれている。
また、発売後即完売したせいで生産が間に合っていなかった、OSOの第二回製品版が発売された。
これにより、新規プレイヤー(第三陣)が大量にやってくるだろう。
といっても、彼らもスキルを要望して運営と協議するステップを踏まなくちゃいけないので、今すぐ新規プレイヤーが来るわけではない。
初の公式イベントと第三陣プレイヤーたちの追加。
OSOの行きつく先は、どうあがいても混沌としたものになるだろう。
俺は自宅の洋間に座って、そんなことを考えていた。
例に漏れずグレープとハッパも一緒だ。
グレープはこの辺りの平原に繰り出して犬死にしたり、ダンジョンに繰り出して犬死にしたりと、一人気ままに楽しんでいたらしい。
ハッパはマーケットの治安維持で忙しくしていた。頼むからあまり騒ぎを起こさないでくれ。
とはいえ、今日は記念すべきリリース一か月。二人も手を休めてこれから発表されるイベントの内容を聞きに来たという訳だ。
OSOはリアル志向を売りにしてる癖に、メニュー画面に公式配信を視聴できるページが用意されていた。ちゃっかりしている運営だ。
よって、俺たち三人は椅子に座ってメニューを見ている。
もうすぐ始まる時間だ。
画面の中央にあるカウントダウンが、放送開始までの時間を刻んでいる。あと5秒、4秒。
3、2、1。
『おはよう、諸君。私は「チェリーアプリ」社長兼代表取締役の白峰桜だ』
カウントダウンが終わると、画面にはスーツを着た女性が現れ、話し始めた。
というか、運営のトップじゃなくて、開発会社のトップが説明するんだな。
『本日までに渡り、1000名以上のプレイヤーがこの、【Original Skill Online】を遊び続けてくれて、非常に嬉しい。心から感謝の言葉を贈りたい。ありがとう』
随分律儀な社長だな。
どこかで言ったかもしれないが、βテスター(第一陣)が約100人、初回製品版(第二陣)が約1000名だ。
『と、前置きはこれくらいにして、プレイヤ―諸君は早くイベント内容を知りたいだろうから、早速発表させてもらう。正式リリース一か月記念のイベント内容は、その名も、』
その名も?
『「悪魔の降臨とスキルジェム」だ!』
………。
どういう意味かさっぱりわからんが、何となく波乱を呼びそうなタイトルだな。
『名前だけ言っても意味が分からないだろうから、これから内容の説明に入る。まず、「悪魔の降臨」についてだ。まあ、読んで名のごとく、悪魔が現れるって意味だ。もうちょっと具体的に話すと、各フィールドに一体ずつ、「悪魔」と呼ばれる特別な魔物が現れるようになる』
なるほど。悪魔というからには強いんだろうな。
『この「悪魔」は、プレイヤーのように何らかのスキルを持っている。もちろん戦闘用のスキルだ。その上、魔物並みの膂力を持っているので、多くのプレイヤーの力がなければ倒すことができないだろう』
要はパーティ単位かそれ以上の集まり、レイド単位で戦えということだろうか。
『「悪魔」は倒されると24時間後にリスポーンする。この時新しく生まれた「悪魔」は、以前の「悪魔」とは別のスキルを持つ個体になる。パターン化でハメ殺すなんてことはさせないぞ」
こちらの思考が見透かされている?
『さて、気になる「悪魔」のドロップアイテムは、「スキルジェムの欠片」だ。この「スキルジェムの欠片」は「悪魔」からのみドロップするアイテムで、「悪魔」と戦闘した人数に応じてドロップ量が変化する仕様だ。諸君には奮って狩りをしてもらいたい』
『スキルジェム』、ねえ……。名前からして嫌な予感しかしないが。
『「スキルジェムの欠片」は、10個集めると1個の「スキルジェム」になる。この「スキルジェム」の能力は、端的に言ってスキルのコピーだ。コピーしたいスキルを持っているプレイヤーがこのアイテムに力を注ぎ込むと、「スキルジェム【○○】」というアイテムになる。○○はコピー元のスキルの名前だ』
これは、間違いない。
『完成した「スキルジェム【○○】」を他のプレイヤーが飲み込むことで、飲み込んだプレイヤーはスキルジェムに込められたスキルを扱えるようになる。効力は一時間だ』
これは、過労死対策だ。
一部の有用なスキルを持つプレイヤーが死ぬまでスキルを使わせられ、結果的に死亡する現象、通称『過労死』に対する運営の救済措置だ。
彼らの死は報われた。良かった良かった。
『「スキルジェム」を飲み込んだプレイヤーは、ジェムに込められたスキルと、本来そのプレイヤーが持っているスキルの二種類を扱えるようになる』
え、それじゃあ…。
『「スキルジェム」の効果は重複する。同時に二種類以上のスキルジェムを取り込むことで、3つも4つもスキルを獲得できる。まあ、使いこなせるかどうかはそのプレイヤー次第だがな』
そうか。『スキルジェム』は過労死だけでなく、ソロプレイヤーへの救済でもあったのか。
二種類以上のスキルを使えるようになることで、戦闘向きじゃないスキルを持つプレイヤーや、基本ソロで活動しているプレイヤーでも冒険を有利に行えるという訳だ。
『私から説明することはこれで以上だ。この配信終了後、公式HPにイベント内容を文章で掲載するから、気になったことがあればそちらを確認してくれ。それでは、配信を終了する。またな、諸君!』
何だ、あっさり終わったな。五分くらいしか経っていない。
「後半はよくわからなかったけど、とりあえず『悪魔』をぶっ倒せばいいんだな!」
「ウチの【爆発魔法】もコピーできるってことでしょ?すごくない?隊員たちに配れば最強じゃん!」
「グレープ。簡単に言うと、お前の【自己再生】が他人でも使えるようになるんだ。そして、ハッパ。やめてくれ」
グレープには分かりやすく説明し、ハッパには釘を刺しておく。
「早速、『悪魔』狩りに行こうぜ!モタモタしてると倒されちまう!」
「グレープに賛成。何なら私たちで倒しちゃお!」
まずは『悪魔』の情報収集から、と思っていたが、せっかくのイベントだ。はっちゃけていくか。
「倒せるか倒せないかはともかく、挑戦しに行くか。多分もう湧いてるだろ」
俺たちはイスから立ち上がり、各々狩りの準備を始めるのだった。
※※※
二人の準備が終わったところで、装備を確認する。
俺は初期装備の布の服と短剣を身に着けている。所持アイテム、所持金はゼロだ。
俺はスキルがあまり戦闘向きではなく、中途半端な近接職なので死ぬリスクが高い。『持たざる者』スタイルが俺なりの準備だ。
グレープは金属鎧に、手には長剣を握っている。どちらも初期装備だ。
彼も魔物の前では簡単に死んでしまうので、『持たざる者』スタイルだ。
ハッパは真っ赤なローブを纏っており、杖も見たことがない形のものだ。街で装備を揃えてきたな。
彼女は比較的安全な後衛職なので、気に入った装備を付けることができる。まあ死の危険がない訳ではないので、自己責任だけどな。
以上、三人合わせて【OSOソロ連合】だ。果たして俺らは『悪魔』に通用するのだろうか。
家のドアを指紋認証でロックしてフィールドに出ると、普段と変わらない平原が広がっていた。
「見た感じだと居ないな。平原は広いから、街とは反対側に湧いたかもな」
「よっしゃ!それじゃ、誰が一番早く『悪魔』を見つけられるか競争だ!行くぞ、よーいどん!」
「おい!そもそもここは平原なんだから、視界が開けててよっぽど離れない限り同時に見つかるだろ!…ってもうどっか行った」
「足は速いからね。グレープ」
一人で勝手に決めて勝手に走り去ったグレープ。パーティプレイとは何だったのか……。
あ、別に一言もパーティプレイで倒すとは言ってなかったから、俺も悪いのか?
いや、グレープが悪いな。
「よく考えたら、ここら辺に湧いたら大惨事になるし、街から離れて探してみるか」
「そだね」
残された俺とハッパが話していると、右隣の家のドアがガチャリと開き、
「やっとZと狩りができるよ。勧誘ばっかりしてるんだから」
「でもそのおかげで私たち、【アルファベット】に入れたんだし、悪いことではないじゃない?」
「クランメンバーが増えるのは純粋に嬉しいからな。俺も堂々とサボれる」
「いやさぼるなよ!もしかしてだけど、ちゃんとやってるよな?アイテムとか金とかの管理、ちゃんとやってるよな?」
「………」
「なんとか言えや!」
やけに騒がしい四人のプレイヤーが出てきた。
彼らはクラン【アルファベット】のメンバーだ。【暗殺稼業】とは反対側のお隣さんだ。
メンバー全員がアルファベットの名前をしている。というかクランマスターが、アルファベットの名前のプレイヤーを熱く勧誘しているので、そうなっている。
不意に、女性のプレイヤーが俺たちの存在に気づき、こちらの方を指さした。他のメンバーも気付いたようだ。
「いやあ、申し訳ないな、水晶の。ウチのマスターが不甲斐無いせいで……」
「俺のせい!?」
「大丈夫だ、Y。賑やかで結構だ」
「こんにちは、トーマ」
「かわいい子連れてるじゃない。もしかしてクラン作ったの?」
「いや、作ってない。紹介するよ、フレンドのハッパだ」
「ハッパってことは、もしかして『爆破の魔女』…?」
「そうです、ウチが『ユルルンマーケット』の治安維持隊隊長、『爆破の魔女』ことハッパです!よろしくぅ!」
ハッパはなぜか、『爆破の魔女』と呼ばれることが嬉しいらしい。割と不名誉な称号なんだが。
「僕はKって言います。アルファベットのKです。剣士やってます」
「私はIよ。弓使いやってるわ。よろしくね」
「俺はYだ。Zがどうしてもって言うからサブマスターをやってるんだ。スキルを使った前衛職をしてる」
「どうしてもだったの!?……えーこほん。俺がクラン【アルファベット】のマスター、Zだ。投げナイフを使った中衛プレイが得意だな」
Kは見るからに剣士という出で立ちだ。金属鎧に長剣という、まあグレープと似たような格好だ。全て初期装備の『持たざる者』スタイルだ。
Iは布の服に弓、背中に矢筒と数十本の弓という、こちらもオーソドックスな装備をしている。服は初期装備っぽいが、弓は店売りのものだろう。だいぶしっかりしている。
Yは布の服に短剣という、俺と同じ装備だ。同様に彼も『持たざる者』スタイルだ。
Zさんは革鎧を着ており、短剣を腰に差している。彼も『持たざる者』スタイルだ。しかし、投げナイフはどこに仕舞ってるんだ?
K、I、Yとは顔見知りでフレンドになっていたが、Zさんは初めましてだ。
そのため、ハッパの分も合わせて、少し時間を貰いフレンド登録を行った。
これでこの場にいる全員がフレンドになったな。コネが多いのは大変よろしい。
聞くところによると、彼らも『悪魔』を探しに来たとのことだったので、雑談しつつ一緒に付近の捜索をすることにした。
「Zさんってβテスターだったんですね」
「ああ。と言ってもそんなに攻略に力を入れてなかったから、大したこともできずに終わったけどな」
「Zに騙されるな、水晶の。こいつは最終ボス、β-ドラゴンを倒すのに活躍したからな。今のはただの謙遜だ」
「え、そうなんですか!」
βテストの最終日に『始まりの街』に突如出現したボス、通称β-ドラゴン。
攻略勢のほとんどは街を離れていたため、限られた人数だけで戦わなければならなかった。
ドラゴンの攻撃によって街はだいぶ崩壊したが、あと少しで街が陥落するというところでトップクラスのプレイヤーたちが街に到着。多くの被害を出したが何とか討伐に成功した。
というのが、今までに伝わる『β-ドラゴン事件』の概要だ。事件というよりかはイベントの一つだったが。
「あれはたまたま街にいたから、NPCたちが逃げるまでの時間稼ぎをしたってだけだよ。別に大したことはしてない」
「嘘つけ。『勇者』たちが来た頃にはドラゴンは虫の息だったって言ってたぞ」
「すごいですね!ドラゴンはめちゃくちゃ強かったって聞きましたけど」
「それこそ、『勇者』たちの方が謙遜してたんだろ。この話は止めだ、止め!」
『勇者』というのは、βテスターの中で最も実力の高かったプレイヤーの一人だ。ある事件の後からそう呼ばれるようになった。
「『悪魔』はβ-ドラゴンよりかは弱いと思うので、幾分気が楽ですね」
「そうだな、といっても、多分レイド並みには強いんじゃねえか?大勢の参加を促してたしな」
俺が助け舟を出すと、Yが良い感じに話題を逸らしてくれた。
「俺もそう睨んでる。弱すぎても興醒めだからな」
隊列としては、一番前にK、その次に俺、Zさん、Y。一番後ろがハッパとIだ。
背後から姦しい話し声が聞こえるので、ハッパはIと仲良くなれたようだ。
「実は、俺とハッパの他にもう一人、フレンドと組んでたんで……」
「来ます!おそらく、悪魔です!」
突然、Kが声を張り上げる。途端に全員の目の色が変わる。前方に最大限の注意を払う。
Kは一歩踏み出す。Yは摺り足でそのKに近寄る。Zさんは投げナイフを両手に握る。俺も短剣を構える。
目の前から何かが歩いてくる。見たことのない姿だ。
それは2メートルを超える高さの、黒い人型だった。
うん、あれが悪魔だな。そうに違いない。
「Yさん、どうします?」
「俺が様子を見る。Kはここにいてくれ」
そう言うと、Yがスキルを発動する。
彼のスキルは【変身(鹿の幻獣)】だ。一対の角を頭にもつ、シカのような獣に変身することができる。
大きさは一般的な鹿と変わらないのだが、筋肉のつき方が違うのか、とにかく脚力がすごい。目で追うのが難しいくらいのスピードで駆けることができる。
また、毛色が白で、角が黄金色だ。まさしく幻獣。
スキルの分類では変身系のスキルだ。現実の動物を強くしたような生き物に変身できるスキルのことを指す。
『まずはやつのスキルを特定する!』
Yは変身している状態でも話すことができる。謎原理だ。
一直線に『悪魔』に突っ込むY。それに反応したように、右手を前にかざす『悪魔』。
あれは、スキルを発動しようとしている?
その様子を見たYがその場で急停止する。
すると、彼の数歩前の地面がせり上がった。先端が尖っている。
Yがそのまま進んでいたら串刺しにされていただろう。
「杖無しで、魔法系のスキルを発動できるのか!?」
驚いた声を上げるK。
魔法系に分類されるスキルは、対象の空間を指定する必要があるので、杖を持っていなければスキルが使えない。
しかしそれは人間の間だけのルールだったようだ。魔物である『悪魔』には通用しないのだろう。
『悪魔』は隆起した地面を操作し、3メートル以上はあろうかという、土のゴーレムを生み出した。
さらに、左手も前にかざす。
付近の地面から茶色の腕が生えてきた。
地面から立ち上がるようにしてもう一体のゴーレムが姿を現した。
「これは、人手が足りなかったかもしれないな……ニヒルたちも呼べばよかったか?」
Zさんが言葉を漏らす。この状況は彼でもきついのだろうか。
正面には土のゴーレム。さらに右奥にもう一体。本命の『悪魔』はさらに奥だ。
対する俺たちは六人。
ま、当たって砕けろだな。『悪魔』の力をできるだけ引き出して、少しでも情報を集められればマシといったところだ。
『諦めるな、Z!水晶の、あれをやるぞ!』
Yとは何度か狩りに行ったことがある。彼は俺のスキルを把握している。
「わかった、任せろ」
とカッコつけたものの、俺はYの背中に乗るだけである。準備することは特にない。
Yが俺の元に戻ってきたので、跨って背中に乗る。
『落ちるなよ、水晶の』
「ハンドルがあるから大丈夫だ」
『後で覚えとけよ……』
Yに騎乗するときは、前にある2本の角をハンドル代わりにしてバランスを取っている。これをすると、後で殺されるくらい怒られる。
『行くぞ!K、Z、爆破のはゴーレムの気を引いてくれ!』
「了解です」「わかった」「あいよ~」
俺を乗せたYが三人にそう伝えると、ビュンと急加速しゴーレムに迫る。
ゴーレムは鈍重な動きしかできないみたいだ。Yを捉えきれない。
一体目のゴーレムを通り過ぎ、左に回り込むように進み、二体目のゴーレムを避けつつ、『悪魔』の元へ進む。
Yの機動力と俺の【魂の理解者】による無敵の近接攻撃。
この二つを組み合わせることにより、たとえボスクラスの魔物であっても、一気に距離を詰め魂を抜き取ることができる。
名付けて、『ライド&スティール』だ。
『ギアを上げる!踏ん張れ!』
さらに加速するY。『悪魔』との距離はもう少しだ。
こちらを目で捕らえるのがやっとという感じの『悪魔』が、大地を隆起させて妨害しようとしている。しかし、Yが速すぎるため、意味を成していない。
魔法を使うのを諦めた『悪魔』が、格闘戦の体勢を取る。
そこに猛スピードで突っ込むYと俺。
『悪魔』が拳を握り締め、迫って来る俺たちに当たるように、叩きつけようとしてくる。
『止まるぞ、水晶の!』
無言で頷く。喋ると舌を噛むからだ。
先ほどやったように、Yが『悪魔』と1メートルくらいの距離で急停止する。
OSOにはいっちょまえに慣性の法則があるので、俺は前に投げ出される。その瞬間にハンドルから手を離す。
スピードを維持したまま『悪魔』に突っ込む俺。
タイミングをずらされた『悪魔』が、俺の目の前で腕を地面に叩きつける。衝撃で土砂が宙を舞う。
続いて俺が『悪魔』にダイブする。狙いは攻撃直後で手前に出ている右肩だ。
「うおおおっ!」
俺は体をそらしながら右腕を前に出し、右手を『悪魔』の右肩にめり込ませる。
後は魂を掴みつつ右腕を引き抜きながら、『悪魔』とすれ違えば作戦成功だ。『悪魔』の魂が抜かれて無力化される。
後はそれだけなんだが………。
実はこの作戦、問題点が一つある。それは……、
今の今まで成功したことがないってことだ。
大体、プロ野球のピッチャーの剛速球ぐらいのスピードで移動しながら魂を抜き取るなんて芸当、できるかって話だ。
なのに、俺のスキルのことを知ったYが、事あるごとにやろうやろうと言い出すのだ。
おかげで、無難に勝てるときでもこの作戦を敢行し、無駄に死ぬことが増えた。
そして、今回もそうだったようだ。
肉体の中には侵入できたが、奥にある魂には触れることすらできなかった。
そのまま水平に投げ出された俺は、数十メートルほど吹き飛んだ後、やがて地面を激しく擦りながら停止した。
俺はかろうじて原形を保っている左腕を動かし、腰から短剣を引き抜くと、自らの喉に突き刺し自害した。
ちくしょう、覚えてろ、Y!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます