第47話 エピローグ
ルイーゼの寝室にルイーゼは寝かされていた。
女医が脈を取って、診察している。部屋にはアンリとリンクがいた。
「ルイーゼ様はご懐妊されておられるようです。おめでとうございます」
意外な報告にアンリもリンクも虚をつかれた。
「倒れられたのは貧血と思われます。お子に異常はございません。よくお休みになって、十分な栄養を摂るようにして下さい。特に薬はお出ししなくても大丈夫です」
「先生ありがとうございます。妊娠ですか……」
リンクはようやく喜びが湧き上がって来た。待望の子だ。
「はい、恐らく妊娠二ヶ月ぐらいかと。安定期になるまでは激しい運動は控えるようお伝え下さい。他にご質問がなければ、私は失礼します」
「ありがとうございました」
リンクとアンリが礼を言うと、女医は退室して行った。
リンクがアンリの方を向いた。リンクの目が怒っているが、口元は緩みっぱなしだ。
(気持ち悪いから、どちらかにしてよっ)
アンリは先に謝ることにした。
「リンク、ごめんなさい。相談もせず、整形魔法を解いて姉さまに会いに行ったことを謝るわ」
「アンリ、今日整形を解く約束だったし、親子の問題に口を出すつもりはないが、ルイーゼは俺の妻だし、お前とは十四年間共に戦って来た戦友だと思っている。一言ぐらいあってもいいんじゃないか?」
リンクは言った後、完全にニヤけてしまった。
「悪かったわ。あなたが組織にいたら顔見せするつもりだったけど、いなかったので、早く姉さまに本当の自分を見てもらいたくて、そのまま来ちゃったのよ。それよりも、リンク、おめでとう」
「ありがとう。ところで、クラウスには話すのか?」
「ううん、パパには話すつもりはないわ。あれだけ子供がいるし、パパには姉さまと結ばれる人生もあったということは、今更知って欲しくないもの。でも、姉さまには知って欲しいの。私が姉さまの娘だということを」
「分かった。お前たち親子の問題だ。ただ、ルイーゼのお腹の子に影響ない範囲で頼む。お前の弟か妹でもあるんだ」
ルイーゼが目を覚ました。
「リンク、アンリ、話してくれる?」
リンクとアンリはこれまでのことを話した。ただ、アンリの父親は名もなき兵士で、既に死亡していると伝えた。
「分かったわ。アンリ、辛い思いをさせちゃったわね。こちらにおいで。抱きしめさせて」
「姉さま」
二人は親子として、初めて抱き合った。
リンクが異世界から来て、十歳のころから自分を見てくれていたと知って、ルイーゼは大感激した。
ルイーゼはリンクと熱い抱擁とキスを交わした。でも、妊娠しているので、あっちの方はほどほどにしておいた。
こうして、ルイーゼは命日を乗り切った。
***
一年後、ルイーゼは男児を出産していた。その二年後には女児を出産する。
アンリのマッチョは結局どちらも諦めなかったため、アンリがルイーゼに頼んで、一妻多夫制も許可するよう法律を変更してもらい、二人と結婚式を挙げた。
クラウスは結局何も聞かされなかった。
終わり
公爵令嬢は皇太子と婚約破棄して、酒場の娘からやり直すことにしました もぐすけ @mogusuke22
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