天王寺の魅力にはまった高校生

 高校生の時、一時間半かけて高校に通っていた。歩いて五分の中学校から大きな違いである。五時台に置き、六時台に家を出る。大変だったが、大阪に行けることはうれしかった。うれしいからこそ、遊びすぎないようにしなければ、と思った。御堂筋線を避け、谷町線で通うことにした。乗り換えでも下りた駅からも少し歩くのだが、「難波を避けること」が重要だったのである。

 「ミナミ」と呼ばれる街には、魅力がたくさんある。学校帰りに寄っていては、きっと財布ももたない。


 だが、天王寺にも魅力があったのである。本や文房具、音楽が好きな私には、難波でなくても「地元の数十倍」楽しかったのである。

 谷町線には「阿倍野駅」があった。御堂筋線には、ないのだ! 阿倍野から天王寺駅まで歩いていくのが、ちょうどいい感じなのだ。

 たまに行く天王寺、本当に好きだった。大人になって十数年ぶりに大阪で泊まることになったときも、天王寺のホテルを選んだ。心残りは、あまり町を観る時間がなかったことである。また、天王寺を訪れたい。

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