旅人っぽくない二人
今から何年前になるかわからないが、この時期に沖縄に行った。プロ野球のキャンプをやっていたので時期の勘違いはないはずだ。
やんばるへグリーンツーリズムの調査しに行くのが目的だったが、免許のない私は目的地にレンタカーで行くことができない。バスは一日2本とかで、二日目が移動日になる。というわけで、たまにはいつもと違うところにするか、ということで一泊目の宿は北谷にした。
米軍基地のすぐ向かい、ドミトリーに泊まった。住み着いた元旅人が、ピザ窯を作っていた。宿泊客は私ともう一人。安宿では食事の時などに談笑するものだが、あっという間に食べて姿を見せなくなっていた。
宿の人に話を聞くと、中日ファンでキャンプに通うため泊まっているらしい。野球好きとしては話してみたいところであったが、その人はキャンプ見学に集中するため、宿は寝るところと割り切っているようだった。
私も旅人の中では浮いた存在だった。「大学院での調査のため」というのは相当に珍しい。今では知らないが、当時のドミトリーにはそういう人は他にいなかった。(大学受験のために泊まっていた人のことは聞いたことがある)顔も見ないまま、ピザ窯の人と話すこともないまま私はその宿を去る。
今思うと、北谷にただ泊まるだけなのはもったいなかった。珍しく「冬を感じる」寒さの沖縄でもあった。今度は温かい北谷に行ってみたい、とプロ野球のキャンプを観ながら思う。
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