島に行く
私にとって、九州は三つ目の島だった。
大学に入るまで、私は多くの都府県に行っていた方だと思う。ただしそのほとんどは本州内だった。本州から初めて出たのはアメリカ大陸(島じゃない!)である。五歳の時、知らないうちに私は飛行機の中におり、日本を脱出していた。
次に行ったのポートアイランドである。父親の系列会社の運動会が行われた。ヒーローショーもあった。まだバブルがはじける前の話である。
それから何年間も、私は本州を出なかった。出る必要がなかったし、一人で旅に出ることもなかった。そして19歳の時、受験で熊本まで来たのである。
本州を出るといっても、新幹線に乗っているうちに下関を過ぎ、博多に着く。実感はそんなにない。当時はまだ九州新幹線もなく、特急は満員だった。座れたのは久留米だったと思う。山の中を走る列車は、突如町に入る。
ああ、知らない土地なんだと思いながら熊本の町を歩いた。そこに20年以上も済むことになるとは。
せっかく九州に来たのだからと、いろいろな場所に行った。身近なのは天草である。天草の名は四郎のおかげで有名なのだが、島だということは知らない人もいるようだ。主に二つの大きな島からなっており、橋でつながっている。島とは言うものの、山といった感じの土地が続く。魚がうまい。
沖縄にも行った。熊本からは直通便が出ている。本島、伊江島、座間味諸島。まだまだ行っていないところがある。
甑島もよかった。九州から見えるものの、簡単には行けない。異国感がありながらも、はっきりと日本。
不思議な島もある。桜島や能古島だ。交通の便がいいため、対岸の市街地にすぐに出ることができる。それでいて島は田舎なのである。博多のビルがはっきりと見える位置に、海岸浴場のさびた施設がある。海を挟むと、別世界なのだ。
まだ、四国も北海道も行っていないし、淡路島や佐渡島もいつか行きたい。死ぬまでに日本の島全てに行きつくすことは無理だろう。つまり、死ぬまで行きたい島があるだろうということだ。
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