第三章

第16話「デルミーラ・アブト伯爵令嬢」

【第三章】「わたくしの辞書に失敗はないはずでした」(フォンジーの婚約者のデルミーラ視点)



※デルミーラ(フォンジーの元婚約者)視点の話です。

※諸悪の根源は彼女。

※胸糞な思考回路をしている女なので注意。

※後付なので色々と矛盾があります。

※二章までと一部のキャラの一人称が違います。ご容赦ください。二章のデルミーラの一人称は「あたし」だったのですが、イメージに合わないので「わたくし」に変更しました。




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第三章




わたくしの名はデルミーラ・アブト、アブト伯爵家の長女で燃えるような赤い髪と真紅の瞳が特徴的な、自分で言うのもなんですがなかなかの美人ですわ。


わたくしの婚約者はフォンジー・ザロモン侯爵令息。


彼は侯爵家の長男なのですが、くすんだ金髪に灰色の目の平凡な容姿、成績も中の上程度。


侯爵家の跡取りということ以外に取り柄がない平凡な男です。


どうせならザロモン家の次男のリックと婚約したかったですわ。


リックは金色の髪に緑の瞳、美しい顔立ちで、頭脳明晰、おまけに魔力も高く、第二王子殿下のお友達。


将来魔術師団長になるといわれているほど才能に溢れた美少年。


どう考えても美しいわたくしに釣り合うのは、平凡なフォンジーではなく、才能豊かなリックですわ。


リックが三歳年下で次男でなければ、わたくしの婚約者は彼に決まっていたでしょう。


でも平凡な兄と結婚して、美少年の義弟を可愛がるというのも悪くありませんわ。


リックのことを気難しいと言う方もいますが、彼はわたくしのことを実の姉のように慕って、何でもわたくしの言うことを聞いてくれるとっても良い子ですわ。


いつか可愛いリックにも婚約者ができる日が来るのでしょう。


その方はきっと侯爵家より格上の貴族の令嬢で、見目麗しく、才能に溢れた方に違いないわ。


そうね、才色兼備と評判のブルーノ公爵家のカロリーナ様か、見目麗しく武勇に優れたメルツ辺境伯家のマダリン様、彼女たちにならリックを譲って差し上げてもいいわ。


それなのにリックの婚約者に決まったのは、グロス子爵家のエミリー。


彼女はありふれた茶色い髪に茶色い目の平凡な容姿をした下位貴族の令嬢でした。


こんな地味でなんの取り柄もない女が、賢くて可愛くて将来有望なリックの婚約者ですって! 許せないわ!


お父様が言っていたわ、グロス子爵は金儲けが得意な男だと。


グロス子爵はきっと、ザロモン侯爵家の窮地に付け込んで、侯爵家に融資する替わりに強引に自分の娘とリックの婚約を結ばせたに違いありませんわ!


だというのに、フォンジーもリックも「エミリーは親切で可愛らしい子だね」と言ってあの女に好感を抱いている。


ふたりともあの女の本性を知らないから騙されているのね!


父親が金で人を買うような悪人なら、その娘も悪人に決まっていますわ!


わたくしが二人の目を覚まさせてあげますわ!





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