第34話 私達はパーティなんだよ

「へえ、これが……」

「私達で倒せるかしら……」

「やってみないと分からないだろ?」

「それもそうね」

「頑張りましょう!」

3人は武器を構えた。

「さあ、行くわよ!」

フィリアが走り出す。

「待て!!」

久留洲が止めた。

「何よ?」

「ここは俺に任せてくれないか?」

「どうして?」

「これは、勇者の役目だからだ」

久留洲は剣を構える。

「そうね……。確かに、それが一番良いわね」

「では、任せます」

「ああ」

久留洲は力強く返事をした。

「グルルルル……」

傲慢は鋭い眼光で睨みつける。

「かかって来いよ」

久留洲は不敵な笑みを浮かべる。

「ガアァアッ!!」

傲慢は炎を吹き出した。

「うおっ」

久留洲はギリギリ避ける。だが、後ろにあった山が一瞬にして灰になった。

「危ねえ……」

久留洲は冷や汗を流す。

「まだまだいくぜ!」

今度は久留洲は風を巻き起こした。すると、砂埃が舞い上がり視界が悪くなる。

「今のうちに逃げるか」

久留洲はその場から離れようとする。しかし、目の前には巨大な尻尾があった。

「なっ!?」

避けようとしたが間に合わず、直撃する。

「ぐはぁあっ!!」

久留洲はそのまま吹き飛ばされた。

「くそ、逃げられないのか……」

久留洲は立ち上がる。全身傷だらけだった。

「グアァアッ!!」

傲慢は雄叫びを上げる。

「やるしかないか」

久留洲は覚悟を決めた。

**

「久留洲さんは大丈夫でしょうか?」

フィリアが心配そうな表情をする。

「あいつならきっと……」

聖女は希望を持っていた。

「グルルゥ」

傲慢は大きな口を開けた。そして、口内から大量の火の玉を出す。

「きたか」

久留洲は構えた。

「ガウッ!」

口から火球を放つ。

「ふっ!」

久留洲はそれを全て斬った。

「次はこっちからだ!」

久留洲は地面を蹴って加速する。

「はああっ!!」

そのまま勢いよく斬りかかった。だが、「グルッ」

傲慢は軽く受け流した。

「嘘だろ!?」

「グオオォオオッッ!!」

傲慢は久留洲を殴ろうとする。

「まずいっ……!」

久留洲は間一髪で避けた。

だが、その一撃は花音に向けたものだった。

「きゃー!」

「花音!」

花音の悲鳴が上がる。

「やめろぉおおおっ!!」

久留洲は駆け出した。


ザクッ!


「フィリア!」

フィリアが花音の前に立っていた。

傲慢の一撃から花音をかばっていた。

フィリアが胸から血を流している。

「……なぜ?」

久留洲の目から涙がこぼれる。

「フィリアお姉ちゃん!」

花音が泣き叫んだ。

フィリアはフッと笑った。

そして……こう言った。

「私達は勇者パーティーなのよ?仲間を助けるのは当然でしょ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る