第29話 『傲慢』『嫉妬』『憤怒』『怠惰』『強欲』『暴食』『色欲』

久留洲達が現場に着くと、そこには複数の人影があった。

「あいつらが犯人か」

久留洲はそう判断し、剣を構える。

「待ってくれ! 彼らは人間だ」

カドカワが叫ぶ。

「えっ!?」

久留洲達は驚いた。

「どういうことだ?」

「彼らは操られているだけだ。恐らく、誰かが洗脳系の魔法を使ったのだろう」

「そうなのか……」

久留洲は安心したが、すぐに表情を引き締める。

「だが、放っておくわけにもいかないだろ?」

「ああ、そうだ。だから、俺に任せてくれないか?」

カドカワはそう言って前に出る。そして、右手を前に出した。すると、彼の手に光が集まり、剣の形になる。

「これは?」

久留洲が尋ねる。

「これが、俺の力だ」

カドカワはそう答えた。

「分かった。頼んだぞ」

久留洲が下がると、カドカワは剣を構えた。

次の瞬間、彼は走り出し、敵の懐に飛び込む。

「ぐあっ」

男の1人が倒れた。それを見た他の者達は動揺する。

「怯むな! 相手はたったの4人だ!!」

リーダーらしき男が指示を出す。すると、残りの3人は一斉に攻撃を始めた。しかし、カドカワはそれを全てかわす。

「すごい……」

久留洲は思わず感嘆の声を上げた。

「そこだ!!」

カドカワの一撃が決まり、最後の男が崩れ落ちる。「さすがだな……」

久留洲が呟くと、カドカワは微笑んだ。

「ありがとう」

その後、街の人々は正気に戻った。

「これで一件落着ですね」

「ああ」

久留洲はうなずいた。

***



「久留洲、少しいいか?」

久留洲達が立ち去ろうとすると、カドカワが呼び止めた。

「どうした?」

「実は頼みがあるんだ」

「なんだ?」

「俺はこの世界の勇者として召喚された。だが、元の世界に戻れないかもしれない。だから、俺の代わりに『傲慢』『嫉妬』『憤怒』『怠惰』『強欲』『暴食』『色欲』の7つを司る悪魔と魔王を倒してくれないか?」

「もちろんそのつもりだ」

「いや、君は強いよ」

カドカワは真剣な顔で言う。

「なら、決まりだね!」

ミリーは嬉しそうな声を上げる。

「フィリアはどう思う?」

「私もいいと思います」

「よし、じゃあ決まりだな」

こうして、『傲慢』『嫉妬』『憤怒』『怠惰』『強欲』『暴食』『色欲』の悪魔の討伐が決まった。

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