第22話 奴隷市場

「あの、ここは一体?」

アルヴィンは尋ねる。

「奴隷市場だ」

「え!?」

「おい、早く入るぞ」

久留洲が叫ぶ。

「ちょ、ちょっと待って下さいよ!」

アルヴィンは慌てて後を追いかける。

「いらっしゃいませ」

中に入ると、眼鏡をかけた男が話しかけて来た。

「今日は何をお探しでしょうか?」

「ああ、新しい仲間を探してるんだ」

「なるほど、それでしたらこちらへどうぞ」

男はそう言うと、歩き出した。

案内された先は檻の前だった。中には獣人や亜人が閉じ込められている。

「ここには様々な種族を取り揃えております」

「ほう、これはすごいな」

「気に入った子はいましたか?」

「そうだな……」

ガイズは檻の中の人間達を見る。

「おい、お前はいくらなんだ?」

「私ですか?私は金貨五枚となっております」

「高いな」

「はい。ですが、それだけの価値はあると思います」

「そうか、ならこいつにしよう!」

ガイズが指差したのはアルヴィンだった。

「なっ……!どうして僕を?」

アルヴィンは驚く。

「お前、俺の従者になるつもりはないのか?」

「そ、そんなの嫌に決まってるじゃないですか」

「何故だ?金も手に入る上に、こんなにかわいい女の子と一緒に旅が出来るというのに」

(ガイズさんは僕を男だと知ってるはずなのに……)

アルヴィンは戸惑う。

「まあ、いい。それじゃあこの子を連れて帰るから手続きしてくれ」

「かしこまりました」

「ちょっと待って下さいよ!僕は承諾してませんけど」

「うるさいな。そんなに文句を言うなら、この場で殺すぞ」

「くっ……」

アルヴィンは何も言えず黙り込む。

「では、お客様は奴隷契約を希望ということでよろしいですね?」

「ああ、頼む」

「承知いたしました」

そう言って、男は紙とペンを取り出した。そして契約書を書き始める。

(今のうちに逃げるしかない)

アルヴィンがこっそり逃げようとすると、突然腕を掴まれた。

「どこへ行く気だ?」

ガイズは鋭い目つきで睨みつける。

「いや……その……」

「まさか、一人で逃げ出すつもりだったんじゃないだろうな?」

「…………」

アルヴィンは無言のまま目を逸らす。

「やっぱりな……。おい、こいつを押さえつけておけ」

「はい」

アルヴィンは取り押さえられると、無理やり契約書にサインさせられた。

「これで契約完了となります」

「よし、それでは早速行くとするか」

「どこにですか?」

「決まっているだろう。奴隷商の元だ」

「そんな……」

アルヴィンは絶望する。

こうしてアルヴィンは、ガイズの従者として強制的に働くことになった。

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