第21話 米が異なる
呼びかけても返事はない。
(まさか……!)
嫌な予感がして慌てて廊下に出る。すると、すぐ近くの部屋から声が聞こえてきた。
そのドアをノックする。
コンッ コンッ
「誰?」
「僕です。アルヴィンです」
「あら、あなたなの?」
「はい。入ってもいいでしょうか?」
「いいわよ」
そう言われて、アルヴィンは恐る恐る部屋に入る。
「どうしたの?そんなに慌てちゃって」
フィリアが不思議そうな顔で尋ねてくる。
「いえ、ちょっと確認したいことが」
「何?」
「今、この部屋にはフィリアさん一人だけですか?」
「そうだけど……、それがどうかしたの?」
「いえ、何でもありません」
(やっぱり、間違いないみたいだな)
アルヴィンは確信すると、急いで荷物をまとめて部屋を出た。
「待って!どこに行くの?」
「すいません。急用を思い出したので、僕はこれで失礼します」
「そんな……」
「それではまた明日」
そう言い残して、アルヴィンは走り去って行く。
残されたフィリアは、呆然と立ち尽くしていた。
(もう。夜這いして来るかと期待してたのに……)
「はぁ……」
結局一人で眠ることになってしまった。
翌日、アルヴィン達は朝食を食べた後すぐに出発した。
「おい、まだ着かないのか?」
ガイズは退屈そうに言う。
「もう少しですよ」
「本当だろうな?」
「はい」
「……」
「うんこしたい」
突然フィリアが口を開く。
「フィリア様、今は馬車の中なので……」
「大丈夫だよ。この辺りには人なんて全然いないもん」
確かに周りを見渡しても、人の姿は全く見当たらない。
「しかし……」
「お願い!ここで出させて!」
フィリアは大きな声で叫ぶ。
「仕方がないですね……。分かりました」
「ありがとう」
フィリアは笑顔で言うと、ズボンを脱いで馬車の上にしゃがみ込んだ。
「んっ……」
しばらくすると、フィリアのお尻の穴からは茶色い物体が出てきた。
「はぁ……」全て出し終わると、フィリアは大きく息を吐く。
「すっきりしたー」
「それは良かったですね」
「ねぇ、次はアルヴィンにしてあげようか?」
「結構です」
「遠慮しなくてもいいんだよ」
「いえ、本当に大丈夫なんで」
「えー、つまんない」
フィリアは口を尖らせる。
(昨晩の夜這いの仕返ししてあげようと思ったのに)
「ほら、着きましたよ」
「やっとかよ」
「ここが目的地なのかしら?」
目の前を見ると、大きな建物があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます