第9話 姉妹

久留洲は振り返り、手を振る。

「こっちも終わったぜ」

ガイズとフィリアがやってきた。

「これで依頼達成だな」

「はい」

久留洲は嬉しそうに返事をした。

それから一週間後。

久留洲達はクエストをこなしながら生活していた。

「クルスさん。そろそろ寝た方がいいですよ」

久留洲がベッドに横になるフィリアに声をかける。

「うん……。明日もよろしくお願いします」

「こちらこそ」

久留洲は微笑み、フィリアに布団をかけた。

「それでは、おやすみなさい」

「お休みなさい」

フィリアは目を閉じた。

しばらくして、久留洲も眠りにつく。

「……」

フィリアはゆっくりと体を起こした。

久留洲が熟睡しているのを確認して部屋を出る。

そのまま、外へ出た。

「……」

フィリアは辺りを見回す。

すると、近くの茂みから音が聞こえた。

「……誰?」

フィリアはその方向へ向かう。

「あ……」

昼間、森で見掛けた少女がいた。

「リディア。どうしてここにいるの?」

フィリアは問いかける。

「……」

しかし、少女は何も言わない。

ただ、怯えた様子でフィリアを見ているだけだ。

「あなたは私の妹なのよ」

フィリアは優しく語りかける。

「私はあなたのお姉ちゃんなの」

「……」

少女は黙ったまま動かない。

「ほら、おいで」

フィリアが手を伸ばす。

「……」

それでも、少女は動かなかった。

「もう……」

フィリアは困った表情を浮かべる。

「ねぇ、私のこと覚えてる?」

少女の目線に合わせるように屈んだ。

「昔、一緒に遊んだじゃない」

「……」

「お母さん達には内緒で、二人で街を抜け出して……森に行ったよね?」

「……」

やはり、反応はない。

フィリアはリディアを見据えてこう言った。

「どうして『七つの大罪』に魂を売ったの?」

「えっ?」

リディアは目を大きく開く。

「やっぱり、そうなんだね」

フィリアは立ち上がり、杖を構える。

そして、呪文を唱えた。

「"光よ、闇を打ち払え"」

眩い光が放たれ、リディアを飲み込む。

「ぐぅ……」

苦しげな声を上げて、リディアは倒れた。

フィリアは少女に近づき、首元に触れる。

「う……」

「まだ生きてますか?死んでください」

冷たい声で呟くと、リディアの首を切り落とした。

「……」

フィリアは無言のまま立ち涙を流していた。

そして、こう誓った。

「『七つの大罪』を許さない」

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