第8話 はじめてのクエスト
「……そうですね。それにしても、これが魔法なんですか」
フィリアが問う。
「はい。魔法です」
「凄い。こんなに強力な攻撃ができるなんて」
「そんなことないですよ。まだまだ未熟ですから」
「でも、私もいつか使えるようになりたいなぁ」
フィリアは憧れの眼差しを向ける。
「はい。頑張ります」
久留洲は自分の胸を叩き、笑みを浮かべた。
「いやー、今日は助かったよ」
ガイズは嬉しそうに久留洲の肩を叩いた。
「いえ、大したことではありませんよ」
「久留洲君の実力があれば、これからのクエストにもついてこれそうだな」
「そうですか? なら良かったです」
「ああ。期待しているぞ」
「はい」
久留洲は笑顔で応える。
こうして、二人は冒険者になった。
「おはようございます」
「おう。久留洲さんか。早いな」
早朝のギルドではガイズの他に数人の職員が働いていた。
久留洲は受付に向かい、依頼表を確認する。
「どれにしましょう?」
「うーん……そうだな」
ガイズは一枚の依頼票を手に取った。
「これにしよう」
「どんな内容ですか?」
「最近、街の外れにある森にゴブリンが出現するらしいんだ。その討伐だよ」
「分かりました。行ってきます」
久留洲達は森の中に入った。
「クルス君はここで待っていてください」
ガイズが言う。
「分かった」
クルスは木陰に座り込んだ。
「さて、行きますか」
久留洲は杖を構え、歩き出す。
しばらく進むと、前方に人影が現れた。
「誰?」
そこには、一人の少女がいた。
「お姉ちゃん。どうしてここに?」
「え?」
久留洲は首を傾げる。
(この子は一体……)
少女はフィリアを見つめている。
「あの……」
久留洲が声をかけると、少女はビクッとして後退りした。
「あ……」
「どうしたんですか?」
「ごめんなさい……」
少女は逃げるように走り去ってしまった。
「何だったんでしょうね?」
「さぁ……」
フィリアは誰とも目を合わせない。
「何か隠していますか?」
「いえ……」
「ふぅむ」
久留洲は考える仕草をする。
「まぁいいでしょう。先に進みますよ」
「はい」
再び、歩みを進める二人。
「あれは……」
木々の間から、複数の人間の姿が見える。
「あれがゴブリンですか?」
「おそらく」
「じゃあ、倒してきますね」
「気をつけて」
久留洲は杖を構えた。
「燃え盛れ。我が魂!」
呪文を唱え、炎の球を放つ。
「ギィ!?」
ゴブリンは突然の攻撃に驚き、慌てて逃げ出した。
「逃がしません!」
久留洲は炎の球を放ち続ける。
「ギャアァ!!」
やがて、全てのゴブリンが倒れ伏した。
「終わりましたよ」
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