第7話 ギルドマスターVS主人公

「ふーん」

久留洲は興味なさげに返事をする。

「おや。あいつを知らないのか? 最近この街にやってきた奴らしいが」

ガイズが呆れた声でクルスの肩を叩く。

「はぁ」

久留洲は曖昧な相槌を打った。

「全く。最近の若いもんは知らんことが多いな」

ガイズはため息をついた。

「あそこまで自信満々なら、さぞかし強敵なのでしょうね」

フィリアが言う。

「当然だ。ギルドマスターはAランクの冒険者だからな」

「なるほど。つまりあなたより上の実力者ということですか」

「そういうことだ」

久留洲は首を傾げた。

(ギルドマスターは人の上に立つ者。なのに……あんなに偉そうにしているなんて)

「あの、一つ聞いてもいいでしょうか?」

クルスはガイズに問う。

「何かね?」

「どうしてあんなに乱暴そうな人が、冒険者のまとめ役をやっているんですか?」

「それは簡単な理由だよ。彼はこのギルドで一番強かったからだ」

「一番? 他の人と強さを比べるんですか?」

「ああ。年に一回行われるギルド内で闘技大会があるんだよ。そこで順位が決まる」

「へぇ。面白そうですね」

「面白いなんてものじゃないよ。優勝すれば多額の賞金が出る上に、領主からも表彰される」

「凄いんですね」

「だが、ここ数年はずっとあいつの優勝が続いている。今じゃ皆諦めムードだ」

「そうですか……」

久留洲は少しだけ同情した。

「さて、そろそろ始めようか」

ギルドマスターがこちらに向かって歩いてくる。

「いいだろう。僕達が相手になるよ」

ガイズとクルスは前に出た。

「ふん。二人だけで勝てると思っているのか?」

「もちろん。君程度、二人で十分だ」

「ぬかせ!」

ギルドマスターは剣を振りかざす。

「遅い」

しかし、あっさりと避けられてしまう。

「くっ……」

「隙だらけだな」

「ぐあっ!?」

ギルドマスターの拳がガイズの腹部に命中した。

「もう終わりかい?」

「まだだ!!」

久留洲は雄叫びを上げながら突進してきた。

「はぁぁぁぁ!!」

「むっ!」

鋭い突きが放たれたが、間一髪でかわされてしまう。

「やるな。ガキ!」

ギルドマスターは久留洲に飛びかかる。

「甘いですよ」

久留洲は杖を横に振るった。

すると、杖の先端から炎が飛び出した。

「なんだと!?」

炎はギルドマスターを包み込む。

「ちっ!」

ギルドマスターは舌打ちをした。

「どうですか?」

「なかなかの威力だったぜ」

「そうですか。それならもう少し強くしましょうか」

久留洲はさらに魔力を込めた。

「くらえ!!」

「うわぁぁぁ!!!」

ギルドマスターは火だるまになり、地面の上を転げ回った。

やがて動かなくなる。

「……やりすぎちゃいましたかね?」

久留洲は心配そうに倒れたギルドマスターを見つめてフィリアに問い掛けた。

「大丈夫だと思いますけど」

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