第46話 宝の地図とピケット
「宝の地図とピケット」
「ポポッコ、宝探しに行かないかい」
ある晴れた日の朝方、クリケット・カラアリ・ピケットは友人のカラアリ・ポポッコの家を訪ねてそう言いました。
「家の中を片付けてたら宝の地図を見つけたんだ」
そう言ってピケットは地図をポポッコによこしてきました。その地図には絵や図形のようなものは何もなく、ただ大変へたくそな字であっちの岩から西に十五歩、こっちの川から北へ二十歩などとしか書かれていませんでした。そして本当に、何のための地図なのか最後まで読んでもわかりませんでした。
「なんだいこの地図は、本当に宝があるかも怪しいな」
「多分、僕が小さい頃書いたと思うんだけど、よく思い出せなくって」
「それじゃあ方角があってるかも怪しいな。でもまあ面白そうだし、付き合うよ」
ピケットとポポッコはスタート地点である
「あれ、おかしいな。大尋ノ河からそんなに遠くないみたいだよ。」
「やっと気づいたのかいピケット、この地図は散々同じ所をぐるぐる回るようにできていたよ。北だの南だの書いておいて、実際は短い距離を長々しく書いたものだったんだよ」
「ポポッコは気づいてたの?」
「まあ、最初に読んだときからね。」
「教えてくれればよかったのに」
「言っただろう、面白そうだって。ピケットはどうだったんだい?」
「そりゃあ面白かったさ。ポポッコと一緒にいろんな所を歩いてまわって、僕すっごく楽しかった」
「で結局、宝物が何か思いだしたのかい」
「……ううん。そもそもここであってるかもわからないし。僕、ポポッコと一緒に冒険出来て、それが一番幸せだったから」
「……得難い友こそ真の宝、か」
「なに? それ」
「なんでもないよ。僕とピケットは友達だって話」
「そんなの当り前じゃない」
「そ、当たり前」
ポポッコはくすくす笑いました。ピケットはしばらくぽかんとしていましたが、ポポッコがあんまりに楽しそうだったので一緒になって笑いました。今まさに沈まんとする金色の光を浴びながら、今日一日のことを思いだし、二匹はいつまでも笑っていました。
おわり
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