第24話



「香燈ちゃん、浴衣似合ってる!髪型もいつもと雰囲気違うしかわいい!」








「ありがとう。のりちゃんもそのグリーンの雰囲気がぴったり」








「んふふ、ありがとうっ」


















私たち4人は花火大会に来ていた。






あの日、メールをくれたのはのりちゃんで、みんなで花火大会に行こうというものだった。






「二階堂くんには、香燈ちゃんから連絡してね」という一言を添えて。






夏休みはたくさんバイトをしてるって言ってたから、もしかしたら断られちゃうかなと不安も抱きつつ連絡をしてみる。
















「今度河川敷でやる花火大会に4人で行きませんか?」










すると、思ったよりも早く返事が届いた。




















「行く」


















たった2文字。






ただそれだけなのに、すごくうれしかった。






その日から、早速ヘアアレンジの練習を始めた。










































































「あ、山田くんー!こっちこっち!」










のりちゃんと浴衣姿を褒め合っていると、山田くんと二階堂くんが集合場所に到着した。








「お!女の子の浴衣姿はやっぱかわいいね~!」








「おじさんみたいなこと言わないでください」








「えぇ?!俺今褒めたんだんだけど!なぁ、二階堂!」
















顔を合わせるなり、いつものじゃれ合いを始める2人。






なんかいいな。






私もかわいい、とか言ってもらいたいな。






なんて、自分の図々しさが時折嫌になる。
















「そういえば、山田くんにアドレスのこと話したの?」








「さっき会って1番に話した。本当は今日ずっと無視してやろうと思ってたけどうるさくなりそうだからやめた」








「賢明な判断かもね」








「でもまだ許したわけじゃない」








「もう許してあげなよ。悪意があったわけじゃないんだし」








「無理」
















「香燈ちゃん!あっちに屋台めっちゃあったから行こう!」








「うん!」










のりちゃんが私の手を取り歩き出す。






その後ろを山田くんと二階堂くんが歩く。






たくさんの屋台のなかで食べ歩きをしたり、射的をしたり、金魚すくいをしたり。






お目当ての花火はまだだというのに、笑い過ぎてもうすでに顔が痛い。






こんな楽しい夏、生まれて初めてかもしれない。




























「ここ空いてるからここで見ようぜ!」


























山田くんが見つけてくれた場所で4人並んで空を見上げる。










「ここの花火大会、子供のとき以来だなぁ」








「よく来てたの?」








「うん、家から近いからね。二階堂くんは?」








「俺も来てたと思うけど、あんま覚えてない」








「じゃ今日新しく思い出が更新されたね」








「・・・・ん」








「香燈ちゃん!もう始まるよ!」














のりちゃんに声をかけられ、そのまま夜空を見上げたとき。






そこには大輪のキラキラした花が咲き乱れていた。




















「すごい、綺麗」








「大人になってから見るとまた違うよね!」








「のりちゃん誘ってくれてありがとう」








「こちらこそ、一緒に来てくれてありがとう香燈ちゃん」


















しばらくは花火の大きな音と眩しい輝きに目を奪われていた。






このまま、ずっと楽しい時間が続けばいいのに。






















ときたま上がる流れ星のような花火に、何度も祈った。


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