第2話
下校中、その足取りは信じられないくらい重いものだった。
持ち帰る荷物がいつもより多いのもあるが、家に着いたら夏休みが始まってしまうのだ。
抗えないのはわかっているけど、少しでも始まるタイミングを遅らせたかった。
遅らせたからといって、充実するかと言われたらそういうことではないけれど。
それでも、数秒でもいいからまだ私のところまで来て欲しくなかったのだ。
すれ違う他校の生徒も、明日からの夏休みに心を躍らせている。
部活動を充実させる人、アルバイトを始める人、友達とお泊まり会を計画してる人・・
数ヶ月前の私のままなら、あぁやって目を輝かせていたのだろうか。
きっと、この夏を充実させようと必死だっただろう。
いや、もしかしたら何も考えずとも毎日に充実感を感じられていたのかもしれない。
でも、今の私はどうだろう。
家に帰りたくないし、1日でも遅く始まってほしいと願っている。
ワクワクしている会話が耳に入ってくるのさえも耐えられない。
そもそも、こんな長い休み、勉強が本業な私たち学生に必要なものなのかも疑い始めていた。
誰とも目を合わせず、余計な会話が耳に届かないようにイヤホンから流れる音楽のボリュームをあげた。
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