第1話
雪の解けた山道ではハピーたちを乗せた車が走っていた。運転席にいた風真がミラーに目をやると、後ろの席で眠っているハピーの姿があった。それを見て「ハーちゃんたら…。」とほほ笑み、再びフロントガラスに視線を戻した。
それから車は山間をしばらく進むと、目の前に水たまりに落ちている人が見えた。その人は起き上がりため息をついた。彼はそれを見て何を思ったのか彼は車から降り、来ていたジャンバーをその人にかけた。しばらく着ていたが、体が温まってきたのかその人は立ち上がり「ありがとうございます。」と会釈した。風真は彼に何か言おうとして彼の顔を見た風真は「あっ、イケメン!」と目を輝かせた。
しばらく男に見惚れていだが、「申し遅れた、私の名前は桜助、桜王国の者だ。そなたは。」と聞かれて彼は「私の名前は風真。」と顔を赤らめた。
それを見ていた桜助のお付きの男Aは「せっかく今日の気温をやったのに無視した奴の…(どこがいいのだ‼)」と問い詰めたが、風真は変わらず目を輝かせ見つめていた。それを見て男Aは「おい! 聞いているのか‼」と怒鳴った。
その日は近くの旅館で一泊し、ハピーたちはぐっすり眠っている中、風真は嬉しそうに眠っていた。昼間出会った桜助と舞踏会で踊る夢を見ながら。
桜王国の精が住む木の近くに不穏な空気の漂う木があった。
その木の中の要塞では、木霊大使像の前にしゃがみこんだ青年がいた。青年が報告する間もなく「お前は用済だ。」と言い、大使の背中から出た黒い棒が男の体に刺さった。それが体に刺さった瞬間パリンと音がした。樹人の脳である「タマシイノタネ」が割れ、魂が消滅した音だ。それが割れた後、部屋に入った手下たちは驚きを隠せなかった。なぜなら壁に飾られた若き日の大使様を描いた肖像画にそっくりだったためである。
ハピー 木霊の涙 @kamekamikameru
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