第38話 帰宅
「それじゃあ、また来てね!」
ミキが俺と大翔(ひろと)に手を振る。
「うん! お塩と、塩漬けの魚、準備できたら送ってね! お金はちゃんと払うからね!」
大翔がミキに言うと、ミキは頷いた。
「またな」
俺たちは持てるだけのトロピカルフルーツをお土産に買って、リースの町へと向かう馬車に乗り込んだ。
馬車が走り出す。
「健(たける)、あっという間だったね」
「そうだな、大翔」
「なんか、塩作ってばっかりだったね」
「ああ」
俺が笑うと、大翔も笑った。
平坦な道が続く。
いつのまにかウトウトと眠りについていたらしい。馬車が止まって目が覚めた。
リースの町に着いたようだ。
「あれ? アイラ?」
大翔が馬車をおりたところにいたアイラを見つけて声を上げる。
「お帰り! 健! 大翔!」
アイラが満面の笑みを浮かべて俺たちを迎えてくれた。
「お土産は!? 海、楽しかった!? 私、大翔のごはん食べたかったのよ!!」
「落ち着いて、アイラ!?」
大翔の肩にアイラがとまる。
俺は馬車から荷物を下ろし、両肩にカバンをかけ、両手に袋を持った。
「あ、ごめん! 健! 僕も持つよ」
「じゃあ、これだけ持ってくれ」
俺は右手に持っていた袋を大翔に渡した。
「それ、なあに?」
アイラが袋を覗き込む。
「トロピカルフルーツだよ。ジュースにしたり、シャーベットにしたり、ジャムにしたら美味しいと思って、たくさん買ってきたんだよ」
「へえ! 楽しみ!」
アイラはパタパタと羽を動かし、大翔の周りを飛んだ。
「じゃあ、家に帰るか」
「うん」
俺たちは街はずれの宿に帰ることにした。
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