第25話 イノシシのミートソース
俺が目を覚ますと、下の階からいい匂いがしてきていた。
俺は着替えを済ませてから、キッチンに向かうと大翔がもう料理を始めていた。
「おはよう、大翔」
「あ、おはよう健」
大翔は大きな寸胴鍋でなにかを煮込んでいる。
「今日は何を作っているんだ?」
「えっとね、イノシシ肉でミートソースを作ってるんだよ」
そういうと大翔は小さなお皿に鍋の中身を取って俺に渡した。
「味見してみて」
「ん」
俺は受け取ったミートソースを口に入れた。甘じょっぱくて、肉の味もいい感じだ。
「美味い」
「良かった。今日はこれをピタパンに入れた、イノシシ肉のミートソースピタパンと、オムライスおむすびを市場に持っていくつもりなんだ」
「そうか」
キッチンを見ると、薄い卵焼きが沢山お皿に積み上げられていて、赤いおむすびがいくつもあった。その向こう側にピタパンが口を開けて並んでいる。
「僕、オムライスおむすびの仕上げをするから、健はピタパンの仕上げをお願いしてもいい?」
「ああ、分かった」
俺はピタパンを取り、イノシシのミートソースを詰めると、竹の皮でそれを包んだ。
ピタパンは20個作れた。
「終わったぞ」
「ありがとう! 僕の方もそろそろ完成かな……」
「大翔はおむすびを何個作ったんだ?」
「30個」
俺たちは大きなカバンに、それぞれが作ったピタパンとおむすびを詰めると玄関のわきに置いた。
「それじゃ、朝ごはんにしよう」
「今日のメニューは?」
「トーストと、チーズオムレツにミートソースをかけたやつ」
大翔はトーストとオムレツをそれぞれ皿にのせて、食堂に運んだ。
「いただきます」
「いただきます」
俺たちは食事を始めた。
「朝からチーズオムレツじゃ、重かったかな?」
「いや、美味いぜ」
「よかった」
俺たちは食事を終えた。食後の紅茶は俺が淹れ、大翔の前に置いた。
「ありがとう、健」
「いつも食事を作ってもらってるから、このくらいはな」
二人で食後の紅茶を飲んだ後は、歯を磨いて出かける準備をした。
「じゃあ、市場に向かおうか」
「ああ」
俺たちは玄関に置いていた大きな荷物をもって、町に向かった。
市場に着き、店を広げるとあっという間にお客さんが集まってきた。
「今日は何があるんだい?」
「イノシシのミートソースピタパンと、オムライスおむすびです。ピタパンは銅貨30枚、おむすびは銅貨15枚です」
「じゃあ、ピタパンを一つと、おむすびを二つくれ」
「はい、銅貨60枚です」
一時間もすると持ってきた商品はすべて売りきれた。
「じゃあ、帰ろうか。大翔」
「まって、健。今日は薬草の店を見に行きたいんだ。ハーブが残り少なくなってるから」
「分かった」
俺たちは市場を出て、薬草の店に向かった。
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