第23話 休日
「大翔、明日は休みにしないか?」
「え?」
俺が言うと、大翔はきょとんとして俺のことを見つめた。
「結婚式、結構大変だったし、最近休んでなかっただろう?」
「うん…そうだね。じゃあ、食堂と市場はお休みしようか」
大翔は頷いてから、アイラに声をかけた。
「アイラ、明日は用事ある?」
「ないよ」
アイラはひらひらと飛んで大翔のそばに寄ってきた。
「健、よかったら森の探索にいきたいんだけど、どうかな?」
「……まあ、いいけど」
「よかった。肉も野菜も少なくなってるから、とりに行きたかったんだよね」
大翔がほっとした顔で笑った。
「アイラも行く?」
大翔に声をかけられたアイラは、ちょっと考えてから頷いた。
「うん」
「それじゃ、今日は早めに寝よう」
「うん」
「おやすみなさい」
俺たちは寝床についた。
夜が明けた。
「おはよう。いい天気だね、健」
大翔が着替えを終えて、一階に降りてきた。
「ああ、おはよう、大翔」
俺も着替えを済ませて、探索の準備をしていた。
「朝ごはん、何にする? あとお昼のお弁当も」
「そうだな、朝はトーストとチーズとスープがいいな。昼は……たまにはおにぎりもいいな」
「あ、いいね。おにぎり」
大翔はエプロンをつけてキッチンに向かった。
ご飯を鍋で炊きながら、朝ごはんの準備をしている。
「おはよー。おなかすいたー」
アイラが起きてきた。
「おはよう、アイラちゃん」
「おはよー。大翔、何作ってるの?」
アイラは大翔の肩にとまると、大翔の手元を見て首を傾げた。
「朝ごはんが出来たよ。そっちに並べるね」
「俺も手伝うよ」
「アイラも」
「じゃあ、健はスープを運んで。アイラちゃんはパンを乗せるお皿を運んでくれるかな?」
「はーい」
俺とアイラは朝食を食堂の机の上に並べた。
「トーストとチーズ、あと、サラダも運んでね」
「了解」
俺は大翔から渡された食事を食堂に持っていった。
「あとは、オレンジジュースが冷えてるから、入れて持っていくね」
「わーい」
アイラは嬉しそうだ。
「じゃあ、みんな席にすわってるね」
大翔が最後に食堂の席に着いた。
「いただきます」
三人の声がそろった。
「今日は森で、獣の肉と、野菜を手に入れたいんだ」
大翔の言葉に俺は頷いた。
「そうだな。結婚式でだいぶ使ったから、冷蔵庫の中は空っぽだろう? 干し肉やベーコンも無くなったみたいだし」
「アイラ、森の中、案内するね!」
アイラはめずらしく、俺の肩の上にとまって両手をぶんぶん振った。
食事を終え片づけをすると、大翔が大きな布袋を四つと、小さな袋を持ってきた。
「はい、健。こっちはアイラちゃん」
渡された袋を見て、アイラは首を傾げた。
「これに、食材をいれて持って帰ればいいと思って……」
大翔は袋をわきに置いて、探索のための装備を身に着け始めた。
「そろそろ出かけるぞ」
俺が声をかけると、大翔とアイラは頷いた。
「アイラ、怖かったら留守番しててもいいぞ」
「アイラのこと、子ども扱いしないで!」
アイラはぷくぷくの頬をさらに膨らませ、両手を腰に当てて怒っている。
「それじゃ、行こう」
大翔と俺の後にアイラが続いた。
俺たちは近くの森に向かった。
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