第15話

 冒険者ギルドに大翔たちは移動した。

「こんにちは」

「いらっしゃい」

 レンが大翔たちを見つけて声をかける。

「あら、いらっしゃい、大翔、健。えっと、エルフを連れているの?」


「アイラです。森で一人で暮らしていたんだけど、一緒に暮らすことになったんです。ね、アイラ?」

 大翔がレンにアイラを紹介した。

「……はじめまして、アイラです」


「こんにちは、アイラ。私はレン」

 レンはアイラの小さな手を取って、握手をした。

「で、なにかあったの?」

「実は市場で物を売ってたらジーンっていう人に場所代を取られたんだ……」


 健がそう言うと、レンは困ったような笑顔を浮かべた。

「ああ、ジーンに話を通さないで市場で物を売っちゃったのね。……ジーンは市場をしきってるのよ。挨拶しておいたほうがよかったわね」

 大翔はそれを聞いて、レンに言った。

「レンさんからジーンさんに、僕たちが市場で商売をできるように話してもらえませんか?」

 レンはちょっと考えた後に言った。

「いいわよ。でも、一つ条件を出してもいいかしら?」


「条件? どんな条件だ?」

 健が聞くとレンは答えた。

「そんな怖い顔しないでよ。私と、ジーンを夕食に招待してくれない? あの美味しい料理を食べさせたら、ジーンも納得すると思って」

 大翔と健は顔を見合わせた後に、同時に頷いた。


「分かりました。それじゃ、レンさんとジーンさんのために料理を作ります。市場で商売をするのは、なるべく早いほうがいいんですけれど……。いつなら食事会を開けそうですか?」

「そうね。ジーンの予定も聞いてないといけないから……また、明日の午後に来てくれる?」

「分かりました」

 大翔たちはレンと食事会を開く約束をして、冒険者ギルドを後にした。


「健、レンさんが紹介してくれるみたいで良かったね」

「ああ、そうだな」

 大翔は目を閉じてから、呟くように言った。

「食事会、どんな料理を用意すればいいかな?」

「そうだな……」

 健と大翔は食事会のメニューを相談しながら家に帰っていった。


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